日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD22_1AM2] 重力・ジオイド

2014年5月1日(木) 11:00 〜 11:45 413 (4F)

コンビーナ:*今西 祐一(東京大学地震研究所)、松本 晃治(国立天文台RISE月惑星探査検討室)、座長:小澤 拓(防災科学技術研究所)、松尾 功二(京都大学 理学研究科)

11:00 〜 11:15

[SGD22-08] 重力衛星GRACEを用いた地震後重力変化の研究:余効変動の二成分の分離とそのメカニズムの考察

*田中 優作1日置 幸介1 (1.北大院理)

本研究では,重力衛星GRACE (Gravity Recovery And Climate Experiment) が捉えた超巨大逆断層型地震(2004年スマトラ-アンダマン地震,2010年チリ(マウレ)地震,2011年東北沖地震)に伴う重力変化を時系列解析することで,重力が地震後に地球内部で起こっている現象を区別して観測する第一の手段になりうることを示した.地震を観測するセンサーは今のところ三種類ある.地震計と,GPS (Global Positioning System) を始めとする GNSS (Global Navigation Satellite System)及びSAR (Synthetic Aperture Rader),そして重力観測である.地震計は地震波を捉え,GNSSやSARは地殻変動を空から観測し,重力は質量移動を追跡する.地震時の現象はどの観測機を用いても捉えることができる.しかし地震後の現象は,地震波が発生しないため地震計では捉えられない.地震後の地表の動きはGNSSやSARが捉えることができる.しかし,それらも地下で複数のメカニズムが起こっていた場合,その現象を分離して捉えることは難しい.可能なのは,いくつかの仮定を置いた上で,複数の現象に対応したモデル計算を行い,その結果と観測結果の一致を得ることである.しかし,地震後に複数のメカニズムで変動が起こっている場合,もっと望ましいのは,そのメカニズムの各々を別々に観測値として得ることだろう.本研究で発見したのは,地震後に起こる変動が重力としては逆の極性と時間スケールで観測されることである.これは重力が地震後に地球内部で起こっている現象を区別して観測する第一の手段になる可能性を強く示している.