日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL42_29AM1] 地球年代学・同位体地球科学

2014年4月29日(火) 09:00 〜 10:45 419 (4F)

コンビーナ:*田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、座長:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)

10:15 〜 10:30

[SGL42-05] 原子間力顕微鏡によるジルコンの観察:フィッショントラック?それともαリコイルトラック?

*長谷部 徳子1伊藤 健太郎1大石 新之介1本田 千晶1松木 篤1福間 剛士1 (1.金沢大学)

キーワード:ジルコン, フィッショントラック, アルファリコイルトラック, 原子間力顕微鏡

フィッショントラック(FT)法は鉱物中に含まれる238Uが自発核分裂を起こすことによって生じた損傷の計数に基づく年代測定法である。FTの密度が高くなるにつれFT同士が重なり合い計数が困難になるため,現在行われている光学顕微鏡を用いたFT法では,必要なエッチング時間と分解能の限界により,測定できる密度がある程度制限される。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope: AFM)はナノオーダーの高い分解能を有し,より高密度のFTを計数することができる。しかし密度が高くなるのに合せてエッチング時間を短くすると,期待される年代から予測されるFT数より多いトラックが計数される。これはエッチングが短いために,αリコイルトラックとFTの形状の違いがでるに至らない状態で観察することになり適切な計数が行えないことが原因であると思われる。一方若い火山岩から採取したジルコンには,古いジルコンで観察されるαリコイルトラックが原因と思われる表面構造がなく,そこでまれに見つけられる,10nm深さの,計数可能な凹はαリコイルトラックである可能性があり、年代測定に結びつけられるかもしれない。