日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS24_1PO1] 地震活動

2014年5月1日(木) 18:15 〜 19:30 3階ポスター会場 (3F)

コンビーナ:*伊藤 喜宏(京都大学防災研究所)

18:15 〜 19:30

[SSS24-P03] 東北地方太平洋沖地震後の南東北~関東沿岸域のプレート境界近傍における応力変化の時間変化

*高橋 豪1津村 紀子1 (1.千葉大学大学院理学研究科)

キーワード:応力変化, 2011年東北地方太平洋沖地震, 余震, スロースリップ

本研究の対象地域である南東北~関東の沿岸域は東北地方太平洋沖地震の破壊域の南端に位置し,東北地方太平洋沖地震発生後余震が多発した領域である.対象地域内には太平洋プレート(PAC)及びフィリピン海プレート(PHS)が沈み込んでおり, 茨城沖のPAC上面付近では本震発生から30分後にMw7.9の最大の余震,房総半島沿岸部のPHS上面付近では2011年10月に平均発生間隔より短い期間でスロースリップイベント(SSE)が発生した.このような巨大地震発生後の余震活動は本震による応力の変化が重要な役割を果たしていると過去の研究で考えられている.そこで,本研究では地震発生回数の変化から応力変化の時間変化を求める手法を使用し,東北地方太平洋沖地震発生後,研究対象地域内のプレート上面近傍でどのような応力変化があったのかを推定した.
 推定された応力変化は,東北地方太平洋沖地震が発生した直後に対象領域内のPACおよびPHS上面のほとんどの領域で非常に大きい値を示した.この大きな応力変化は房総半島沖付近まで達した.その後,これらの大きな応力変化は時間の経過とともに小さな値になったが,PAC上面付近では,福島沖―銚子沖において本震発生後から2012年2月まで大きな応力変化を示した.PHS上面付近では,PHSの北東端付近と2011年10月のSSE発生域の北東部において2013年3月まで大きな応力変化が維持されていたことが示された.過去の研究では,PHSの北東端付近を本震の破壊域の南端と推定している.本研究では房総半島沖付近まで大きな応力変化が見られたことから,破壊域よりも更に南側まで大きな応力変化が達したことが示唆される.
地震発生回数から推定された応力変化について考察するため,PACとPHSの上面において東北地方太平洋沖地震とMw7.9の余震,余効変動による応力変化の数値計算を行った.数値計算の応力変化の分布の特徴は地震発生回数の変化から推定した応力変化の特徴と類似した.このことから,本研究で示された対象地域内の東北地方太平洋沖地震発生後の応力変化は本震とMw7.9の余震,余効変動による影響でほぼ説明しうると考えられる.また,それらの大きな応力変化が房総半島付近まで達したことが明らかになった.一方で,2011年10月のSSE域北東部では,数値計算から求めた応力変化は相対的に小さい値であったが,地震発生回数から推定した応力変化は大きな応力変化となった.このことから,本震やMw7.9の余震,余効変動以外の影響があったか,このSSE域北東部では破壊強度に近いレベルにあったことが考えられる.このSSE北東部は2011年10月のSSEのすべりが開始したと指摘されている領域であることから,この領域での大きな応力変化が2011年10月の房総半島のSSEの発生に影響したことが示唆された.