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[SSS31-05] 濃尾断層帯における応力インバージョン解析
キーワード:濃尾断層, 合同地震観測, 震源メカニズム解, 応力テンソルインバージョン, 内陸地震, 活断層
「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」に基づき,1891年濃尾地震(M8.0)の震源域となった濃尾断層周辺において,2009年から2013年まで合同微小地震観測が行われた.定常観測点に加え,70点の臨時観測点が設置され,平均観測点間隔約10㎞という稠密な地震観測網が構築された.本研究では期間中に観測された地震の震源メカニズム解を決定し,それらを用いて応力テンソルインバージョン解析を行った. 研究領域(北緯35.3~36.1度,東経136.0~137.0度)内で2009年5月1日から2013年5月31日までに発生したM1.0以上,深さ30km以浅の地震を選択し,手動で読み取りを行った.P波初動の押し引きをデータとして,Hardebeck and Shearer (2002) が開発したHASHというソフトウェアを用いて震源メカニズム解702個を決定した.得られた解の多くは左横ずれタイプであり,P軸はほぼ東西を向き,この地域の広域応力場と一致している. さらに,得られた702個の震源メカニズム解を用いて応力テンソルインバージョン解析を行った.最初に,震源メカニズム解を震源の深さによって,2~7km,5~10kmおよび8~13kmの3グループに分ける.研究領域内に東西0.1度×南北0.1度間隔で格子点を設定し,各格子点から半径15kmの円内に震央が入るメカニズム解を各グループで選択する.各グループ別々に,Hardebeck and Michael (2006) が開発したSATSIを用いて,応力テンソルインバージョンを行った.得られた結果は,各グループ共によく似ていて,最大主応力軸はほぼ東西・水平方向を向いているが,多少,空間的な変化があるようだ.濃尾断層帯では1891年濃尾地震で地表変位が出現した範囲では,ほぼ東西方向であるが,それより北側および南側では,時計回りに数10度の回転が見られる.