日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS31_30PM1] 内陸地震への包括的アプローチ

2014年4月30日(水) 14:15 〜 16:00 502 (5F)

コンビーナ:*重松 紀生(独立行政法人産業技術総合研究所活断層・地震研究センター)、加藤 愛太郎(東京大学地震研究所)、西村 卓也(京都大学防災研究所)、座長:西村 卓也(京都大学防災研究所)、堀川 晴央(産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)

15:45 〜 16:00

[SSS31-P02_PG] 熱流体解析に基づくガス圧式高温高圧岩石変形試験機の改良案の創出

ポスター講演3分口頭発表枠

*竿本 英貴1重松 紀生1 (1.産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター)

キーワード:熱, 流体, ナヴィエ・ストークス, 状態方程式, ガス圧式高温高圧岩石変形試験機

装置の改良は,安全面に留意しながら所望の性能が発揮できるように行わなければならない.一般に,この過程では,試作,評価,改善,再試作と試行錯誤のループを何度も辿るため,多大な時間と費用がかかる.近年の装置設計と改良では,可能なかぎり試行錯誤にかけるコストを低減するため,数値計算によりこのループを代替させることが主流となりつつある.
高温・高圧下での岩石の力学特性の高精度決定には,ガス圧式高温高圧岩石変形試験機が用いられる.しかし国内の同装置は,熱設計が十分とは言えず高温での使用には限界があった.ここでは,試行錯誤のループを有限要素法に基づく熱流体解析によって代替させ,安価かつ安全に有用な装置改良案を創出することを目指す.
実験装置に対する熱流体解析で用いる支配方程式は,熱伝導方程式,連続の式,ナヴィェ・ストークス方程式,気体の状態方程式の4つであり,これらを連立させて解くことで,装置部材内の温度場や封入ガスの流れ場を定量的に把握することができる.
熱流体解析を実施した結果, (1)固体部材の温度場に対する封入ガスの影響は大きくないこと, (2)熱源近くの断熱材の温度は,材料の耐熱温度以下となること, (3)樹脂製O-リング周辺での温度勾配が著しく大きいこと,などの情報を定量的に把握することができた.これらの知見に基づいて,樹脂製O-リングに接する部材の材質変更,断熱材の材質変更,治具の輻射率の改善など,いくつかの有用な改良指針を得ることができた.