18:15 〜 19:30
[SSS32-P06] 窒素雰囲気下におけるドレライトの摩擦強度の温度変化と摩耗物質中の非晶質物質含有量との関係
キーワード:ドレライト, 摩擦強度, 摩耗物質, 窒素雰囲気, 回転剪断試験
Noda et al. (2011, JGR) による背景温度を制御したドレライト試料の回転剪断実験(垂直応力1 MPa、変位速度1 cm/s、室温~1000℃)では、摩耗物質中の非晶質物質含有量と含鉄鉱物の高温酸化がドレライトの摩擦強度の複雑な温度変化と相関のあることが判明した。しかし、地下の断層は大気中にはないため、実験で観察されたような含鉄鉱物の高温酸化は現実的ではない。
そこで、Noda et al. (2011) と同じドレライト試料を、同じ条件(垂直応力1 MPa、変位速度1 cm/s、室温~1000℃)、窒素雰囲気下(酸素濃度0.1%程度)で回転剪断実験を行い、Noda et al. (2011) の結果と比較した。実験では試料面が定常状態になるまで100 m 程度変位させた後に20 m 程度変位させ、後者の力学データを取得した。また、実験で得られた摩耗物質を250 μmのふるいにかけた後、X線回折プロファイルのピーク強度を用いて鉱物組成の定量分析を行った。
定常状態における摩擦係数は、室温および200℃では約0.47、400℃および600℃では約0.7、800℃では試料の破壊が著しく定常状態が得られず、1000℃では約0.9であった。摩耗物質中の非晶質物質含有量は、室温で約65 wt%、200℃で約70 wt%、400℃で約60 wt%、600℃で約45 wt%、800℃で約15 wt%、1000℃で0 wt%で、Noda et al. (2011) と同様な温度変化が得られた。一方、摩耗物質中の鉄酸化物含有量には温度による有意な変化は認められなかった。
Noda et al. (2011) の大気中の実験では、800℃以下の温度で摩擦強度と非晶質物質含有量との間に負の相関が認められたが、今回の実験でも温度上昇に伴って摩擦強度が増大し、非晶質物質含有量が減少する傾向が認められた。しかしながら、非晶質物質含有量が約5 wt%しか違わない室温と400℃で摩擦係数に0.2以上の差が認められ、また摩擦係数がほぼ同じ400℃と600℃との間で非晶質物質含有量に15 wt% 程度の差が認められた。従って、ドレライトの摩擦強度と非晶質物質含有量の間には直接的な関係はないと考えられる。摩擦強度の温度変化が実際には何に起因しているのかについては、現在検討中である。
そこで、Noda et al. (2011) と同じドレライト試料を、同じ条件(垂直応力1 MPa、変位速度1 cm/s、室温~1000℃)、窒素雰囲気下(酸素濃度0.1%程度)で回転剪断実験を行い、Noda et al. (2011) の結果と比較した。実験では試料面が定常状態になるまで100 m 程度変位させた後に20 m 程度変位させ、後者の力学データを取得した。また、実験で得られた摩耗物質を250 μmのふるいにかけた後、X線回折プロファイルのピーク強度を用いて鉱物組成の定量分析を行った。
定常状態における摩擦係数は、室温および200℃では約0.47、400℃および600℃では約0.7、800℃では試料の破壊が著しく定常状態が得られず、1000℃では約0.9であった。摩耗物質中の非晶質物質含有量は、室温で約65 wt%、200℃で約70 wt%、400℃で約60 wt%、600℃で約45 wt%、800℃で約15 wt%、1000℃で0 wt%で、Noda et al. (2011) と同様な温度変化が得られた。一方、摩耗物質中の鉄酸化物含有量には温度による有意な変化は認められなかった。
Noda et al. (2011) の大気中の実験では、800℃以下の温度で摩擦強度と非晶質物質含有量との間に負の相関が認められたが、今回の実験でも温度上昇に伴って摩擦強度が増大し、非晶質物質含有量が減少する傾向が認められた。しかしながら、非晶質物質含有量が約5 wt%しか違わない室温と400℃で摩擦係数に0.2以上の差が認められ、また摩擦係数がほぼ同じ400℃と600℃との間で非晶質物質含有量に15 wt% 程度の差が認められた。従って、ドレライトの摩擦強度と非晶質物質含有量の間には直接的な関係はないと考えられる。摩擦強度の温度変化が実際には何に起因しているのかについては、現在検討中である。