日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT59_29AM1] 合成開口レーダー

2014年4月29日(火) 09:00 〜 10:45 414 (4F)

コンビーナ:*山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、小林 知勝(国土交通省国土地理院)、宮城 洋介(防災科学技術研究所)、座長:山之口 勤(一般財団法人 リモート・センシング技術センター)、渡辺 学(宇宙航空研究開発機構)

09:00 〜 09:15

[STT59-01] 山間部における高分解能TerraSAR-Xの地形補正済み画像を用いたDEMの精度評価

*野中 崇志1岡島 裕樹1塚原 弘一1 (1.株式会社パスコ)

キーワード:幾何精度, TerraSAR-X, 地形補正, ASTER, SRTM

近年、商用目的の高解像度合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar、SAR)の開発、及びそれに伴い災害時の被災箇所、水稲作付け地、森林等の地図作成をはじめとする様々な分野での利用検討が行われている。衛星データによる地図作成に関して、画像からの地物の判読特性や画像の位置精度が重要となるため、高解像度SARデータでもこれらに関する基礎的研究が行われている。TerraSAR-X衛星群は商用目的のSAR衛星の1つであり、2007年の6月の打ち上げ以降、全世界のデータを順調に取得している。更に2010年には併用機のTanDEM-Xが打ち上げられ、現在は2機で均一で高精度の全世界の陸域の数値標高モデル(Digital Surface Model、DEM)用のデータを取得している。TerraSAR-Xはいくつかの処理レベルがある。他の光学データやGISと重ね合わせることができることからEnhanced Ellipsoid Corrected(EEC)は地図投影済み、かつDEMによる地形補正済みの強度データである。一方で、Single Look Slant Range Complex(SSC)はアジマス-スラントレンジ方向に2軸を有する地図投影前の複素データであり、インターフェロメトリ、偏波解析等で使用されている。TerraSAR-X衛星の幾何精度に関する既往研究では、SSCプロダクトの精度は1m以下であることが示されているが、ユーザによく使用されているEECプロダクトは、実データによる詳細の精度評価結果の報告がなされていない。そこで、著者らはこれまで平坦地において、衛星と同期した反射板を使用した実験により、TerraSAR-XのEECプロダクトの幾何精度の評価を行ってきた。その結果、SRTMのDEMを使用したとき数 mの精度を満たしていることを示した。またレンジ方向の幾何精度とDEMの精度、及び入射角のモデルを構築し、平坦地でモデルの精度を評価したところ、モデルの精度は1m程度であることを明らかにした。本研究では、本モデルを山間部のTerraSAR-Xデータに適用し、オルソ化に使用したDEMの精度を評価することを目的とする。使用した2つのTerraSAR-Xデータは、異なる入射角を持ち、撮影モードは高分解能SpotLightモード(分解能は約2 m)である。一方、使用するDEMはメッシュサイズが30mのASTER、及び90mのSRTMより生成されたものである。また検証用の参照データとして、一定の精度(地図情報レベル2500)を満たす航空写真を使用した。まず検証点としてTerraSAR-X画像と航空写真画像の両方から確認できる道路の交差点と道路の湾曲部を中心に合計25点選択した。そして25地点におけるTerraSAR-Xと航空写真の位置較差の平均値、標準偏差、及びRMS(Root Mean Square)誤差をX方向、Y方向、及びX-Y平面において示した。次に山間部のデータにモデルの適用を検討した。オルソ補正を行うレンジ方向がX方向とほぼ合致するため、X方向の較差の標準偏差の要因をオルソ補正における誤差と考えて、DEMの誤差を推定した。最後に平坦地と山間部の結果を基に本研究を総括する。