日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC50_2AM2] 火山噴火のダイナミクスと素過程

2014年5月2日(金) 11:00 〜 12:45 315 (3F)

コンビーナ:*鈴木 雄治郎(東京大学地震研究所)、奥村 聡(東北大学大学院理学研究科地学専攻地球惑星物質科学講座)、小園 誠史(東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻)、座長:前田 裕太(名古屋大学)、嶋野 岳人(常葉大学大学院環境防災研究科)

12:30 〜 12:45

[SVC50-P03_PG] 火山噴火に伴う空振波形記録の分類と噴火映像解析

ポスター講演3分口頭発表枠

*佐藤 佑輔1横尾 亮彦1 (1.京都大学大学院理学研究科)

キーワード:空振, 火山噴火

空振波形解析は、爆発的噴火の研究において近年発達しつつある手法である。本研究では、バヌアツ共和国ヤスール火山における2011年9月の噴火活動を対象とし、空振波形の相互相関による噴火イベントの分類を行い、それぞれのタイプごとに噴火映像の比較を行った。ヤスール火山の山頂クレータ内には複数の火孔が存在し、1∼3分間に1回程度の頻度で空振を伴う噴火を繰り返している。
ここでは山頂クレータ上に設置したある観測点で最大振幅が50 Paを超えたイベントを解析対象とした。21日15時台の1時間での発生回数は29回を数える。最大振幅をとる時刻の1秒前から5秒間の波形について、29例すべての波形間で相互相関解析を行った。結果、互いに0.75以上という高い相関係数をとるタイプA(13例)、B(12例)と、他のイベントとあまり強い相関を示さないタイプC(4例)に分類された。タイプAとBの波形には、増圧開始から最大振幅をとるまでの時間と、最大正圧に対する最大負圧の比に違いがあった。増圧にかかる時間の平均はそれぞれ、タイプAが0.15秒、タイプBが0.22秒、最大負圧に対する最大正圧の比はそれぞれ2.4、1.6であった。
これらの空振イベント発生時刻における、山頂クレータ内のふたつの火孔での噴火映像の解析を行った。これらの火孔ではそれぞれ、タイプBの噴火が13例、タイプCの噴火が4例発生していた(タイプAの噴火は右手前の火口で1度だけ)。各火孔上を水平方向に横切る直線を解析領域とし噴出物がそこに達する2秒前から、噴火が収束するまでRGB値と輝度を読み取った。噴火が発生し赤色マグマや噴煙などの噴出物が到達すると、RGB、輝度のいずれの値も噴火前の時間帯に比べて大きく上昇し、その後時間が経過して、水蒸気や火山灰の放出が緩やかになるとともに下降する。噴火タイプごとにR値と輝度を比較したところ、タイプBは他の噴火と比べて非常に大きな値をとっていた。タイプAの噴火は、他のタイプと比べ、輝度の上昇が小さく、噴火後すぐに下降した。タイプCは噴火ごとに異なっており共通した特徴はみられなかった。タイプBの噴火では赤色マグマと白色噴煙の噴出が多く、タイプAの噴火では比較的濃い、灰褐色の噴煙が多いといえる。また、空振波形との比較から、灰褐色の噴煙噴出に伴う空振波形は、赤色マグマや白色ガスのものより増圧速度が速く、正圧ピーク後にとる負圧ピークが小さいといえる。