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[U06-20] ロケット実験CIBERによる黄道光の近赤外線スペクトル観測
キーワード:黄道光, 惑星間ダスト, 赤外線, 観測
我々は,太陽系から銀河系外にいたるあらゆる赤外線の宇宙拡散放射を,視線方向の積分である宇宙赤外線背景放射として,ロケット実験CIBER(Cosmic Infrared Background ExpeRiment)により観測した.CIBER実験の目的のひとつは,宇宙赤外線背景放射を構成する放射成分のうち,惑星間ダストによる太陽光散乱である黄道光を観測することである.これまでに実施したCIBER実験により,波長0.8-2μmの近赤外線における黄道光の放射スペクトルと偏光度を観測することに初めて成功した.本講演では,その観測結果について報告する. CIBER実験は,日米韓の国際共同実験として,NASAの観測ロケットプログラムのもと実施した.2009年から2013年までに4回の実験を行い,全ての実験において高度200km以上での地球大気の影響がない良好な観測データを取得できた.CIBER実験の主目的である銀河系外の拡散放射を検出する要求から,観測天域を黄道光が比較的暗い太陽離角90度以上に限ったが,黄緯に対する輝度の依存性を利用して,様々な放射成分を含む観測値から黄道光を成分分離した.その結果,黄道光の連続スペクトルと偏光度を取得するとともに,輝度の季節変化に関する情報を得た. 観測された黄道光の赤外線放射スペクトルには,有為な黄緯依存性や季節変化がなく,太陽スペクトルに対して波長1.5μmより短波長における明らかな赤化が見られた.この結果から,放射源である惑星間ダストは,ミクロンサイズ以上の大きさを持つとともに,短波長での鉱物吸収の存在を示している.偏光度は黄極において最大の20-25%が観測され,可視域での過去の測定値と比較して同等以上であることがわかった.また,偏光度には有為な波長依存性がなく,この点においても観測波長よりも十分大きい惑星間ダストが主であることが示唆される. 本講演では,観測結果を報告するとともに,これを隕石や彗星ダストの反射スペクトルや偏光の観測と比較し,惑星間ダストの光学特性について議論する.