日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

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[U-07_1AM2] Future Earth - 持続可能な地球へ向けた統合的研究

2014年5月1日(木) 11:00 〜 12:40 501 (5F)

コンビーナ:*氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)、中島 映至(東京大学大気海洋研究所)、安成 哲三(総合地球環境学研究所)、植松 光夫(東京大学大気海洋研究所)、座長:山形 俊男(海洋研究開発機構 アプリケーションラボ)

11:00 〜 11:25

[U07-05] 持続可能な地球環境へ向けた国際共同研究の国内外でのプラットフォームの形成

*谷口 真人1 (1.総合地球環境学研究所)

キーワード:地球環境変化研究, 持続可能な地球環境, フューチャーアース, プラットフォーム, キャパシテイビルデイング

持続可能な地球環境に向けての国際共同研究イニシアティブであるFuture Earthは、国際科学会議(ICSU)・国際社会科学会議(ISSC)などの学術コミュニティと、IGFAやBelmont Forumなどの研究資金提供団体, UNE, UNEP, UNESCOの国際機関等が様々なステークホルダーと協働し、地球環境を包括的に理解し、地球規模課題の解決に資する研究の総合的な推進を目指す国際協働研究の枠組みである。3つのテーマである(1) 地球のダイナミック変動、(2)地球規模の開発と発展 (3) 持続可能な地球社会への転換 のもとに、2014年から10年計画でスタートするFuture Earthは、課題解決型の自然科学・社会科学・人文学の枠を越えた統合的・学際的な研究であるとともに、利害関係者が協働で研究の立案・実行を行う事などを特徴とする。我が国におけるこれまでの地球環境研究は、主にGlobal Environmental Change (GEC)の4つのプログラムWCRP, IGBP, DIVERSITAS, IHDPを中心に、地球環境変動の理解を進めてきた。Future EarthではこれらのGEC研究に、Sustainable Development Goalsに関する研究を加え、トップダウンフレイミングとボトムアッププロセシングを基本に、さらに統合的に地球環境研究を進めようとしている。またFuture Earthは、これまでのように研究の最後にその成果を社会に実装するのではなく、初期の段階からすべての利害関係者が問題点を共有し、その解決に向けての道すじを共に考え(co-design)、 科学と社会との合意形成を繰り返しながら研究成果を共創し(co-produce)、その成果を社会へ共に送り出す(co-delivery) 新しい方法であり、グローバルとローカルをつなぐリージョナルでの解決策の模索や、若手の登用、学際研究を超えた統合研究等を中心概念においている。現在、このFuture Earthの国際オフィスや地域ハブといったFuture Earth core projectsを支える事務局体制と、core projectsの在り方自体が議論されており、特にこれまで、地球環境に関する多くの研究実績のあるアジア地域においては、日本がFuture Earthの地域ハブとしての役割を果たし、研究者を含むステークホルダー間のネットワークを構築し、Future Earth関連の研究に必要な手法・データ・能力などを提供するプラットフォームの形成が期待されている。またこのプラットフォームとネットワークの下でのキャパシティ―ビルディングや人材育成に関しても、これまでの環境教育や環境人材育成の枠を超えて、ステークホルダー間のknowledge transferの観点から、より広い枠組み作りが必要とされる。本発表では、Future Earthのcore projectsとその推進体制のありかた、および国内外でのプラットフォームの形成等について議論する材料を提供する。