日本地球惑星科学連合2014年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 U (ユニオン) » ユニオン

[U-07_1PM1] Future Earth - 持続可能な地球へ向けた統合的研究

2014年5月1日(木) 14:15 〜 16:00 501 (5F)

コンビーナ:*氷見山 幸夫(北海道教育大学教育学部)、中島 映至(東京大学大気海洋研究所)、安成 哲三(総合地球環境学研究所)、植松 光夫(東京大学大気海洋研究所)、座長:小池 俊雄(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻)

14:45 〜 15:10

[U07-10] データ統融合による科学の知の創出

*小池 俊雄1 (1.東京大学工学系研究科)

キーワード:データ統合, 分野間連携, 科学と社会の連携

仮説を表式化し、それを観測、測定して実証することによって事実的知識を生み出す演繹的推論手法と、逆に事実的知識の集まりから新たな仮説を生み出す帰納的推論手法とが、ループを描くことによって、膨大な事実的知識が形成される。その中で、移転、共有が可能となった形式知が科学の知である。人類の歴史の中で、科学の知は爆発的増加を遂げた。その結果、形式知となる過程、すなわち移転、共有を実現する段階で、対象分野の細分化が進んだ。その結果、部分システムにおける科学の知は集積されても、それらが全体システムに反映されない、あるいは全体システムや他の部分システムの影響を当該部分システムに取り込めないために、分化した分野間にまたがる問題の本質的な解決につながらないという事態となっている。地球環境に関わる様々な学問分野と情報科学技術分野が連携して、地球観測データや数値モデル、社会経済データを効果的に統合し、情報を融合するデータ・情報基盤を構築し、その基盤上でさまざまな地球科学分野が協働して地球環境問題を解決に導く科学の知を創造するための分野間連携(inter-disciplinarity)の確立が望まれるところである。顕在化している地球規模課題の解決はもとより、新しく直面する課題に対しても、早期に課題の全体像を的確に把握し、効果的な対応策を見出すための科学の知を創造するとともに、その適用によって問題を解決し、公共的利益を創出することが求められており、科学と社会との連携(trans-disciplinarity)の実現が望まれている。その実現には、環境科学の諸分野と情報科学技術分野の協力によるデータ・情報基盤の構築が不可欠で、その国内外への展開が求められている。「データ統合・解析システム(DIAS)」は、最先端の情報科学技術と地球環境に関わる様々な科学技術の連携によって、1)分野を超えて共有できる知の創造、2)世界で共有できる知の創造、3)体感できるデータと情報の提供、これらを実現するための、地球観測データや数値モデル、社会経済データを効果的に統合し、情報を融合するデータインフラである。DIASを基盤にさまざまな科学分野が協働して地球環境問題を解決に導く科学の知を創造するための分野間連携(inter-disciplinarity)と科学コミュニティと社会との連携(trans-disciplinarity)の確立への取り組みが始まっている。