日本地球惑星科学連合2014年大会

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口頭発表

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[U-08_2AM2] 連合は環境・災害にどう向き合っていくのか?

2014年5月2日(金) 11:00 〜 12:45 メインホール (1F)

コンビーナ:*松本 淳(首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻)、須貝 俊彦(東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻)、石原 正仁(京都大学学際融合教育研究推進センター極端気象適応社会教育ユニット)、小荒井 衛(国土地理院地理地殻活動研究センター地理情報解析研究室)、座長:石原 正仁(京都大学学際融合教育研究推進センター極端気象適応社会教育ユニット)

11:45 〜 12:00

[U08-11] 日本地下水学会の震災に対応した活動

*中川 啓1徳永 朋祥2杉田 文3開發 一郎4嶋田 純5 (1.長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科、2.東京大学大学院新領域創成科学研究科、3.千葉商科大学商経学部、4.広島大学大学院総合科学研究科、5.熊本大学大学院自然科学研究科)

キーワード:日本地下水学会, 東北地方太平洋沖地震, シンポジウム, 特集号, 合同調査団, 地下水の塩水化

日本地下水学会では, 2011年3月に起こった東北地方太平洋沖地震に対応して, 次のような活動を行ってきた.企画委員会(委員長:中島 誠)では, 2012年5月26日に地盤工学会と水文・水資源学会を後援に迎え, シンポジウム「震災時の非常用水源としての地下水利用の在り方」を東京大学柏キャンパスにおいて開催した.まず次の4名から話題提供していただいた.山本健一氏(国土交通省)「水供給システムの安全・安心確保」, 上野善晴氏(岩手県)「東日本大震災津波の被災地における水の確保について(報告)」, 竹本和弘氏(名古屋市)「名古屋市における災害時の生活用水としての地下水の活用について」, 中川 啓氏(長崎大学)「東日本大震災における津波被害を受けた水源地下水の調査」その後, 谷口真人氏(総合地球環境学研究所)をコーディネーターとしてパネルディスカッションを行った.本シンポジウムでは, 非常時と平常時の地下水の使い方の違いや管理方法, 登録制などの議論が行われた.本シンポジウムの内容は, 谷口・中島により学会誌にまとめられ, 災害時の地下水の有効性, 非常時のストックとしての水をどの程度どのような形で蓄えておくべきか, そのためのインフラ整備をどのように行っていくべきか, また, 管理・維持・利用形態を常にブラッシュアップして, 社会と自然の回復の過程で, 地下水が持つ役割を十分認識する必要があることなどを述べている(谷口・中島, 地下水学会誌, 55(1), pp.37-64, 2013).編集委員会(委員長:徳永朋祥)では, 2件の特集号を企画・出版した.小特集「東日本大震災と地下水」(学会誌, 54(1), 2012.2)では, 「技術報告:森 一司ほか:2011年東北地方太平洋沖地震による仙台平野南部地域での地下水環境変化について」と「短報:杉田 文:東北地方太平洋沖地震の津波による千葉県旭市沿岸部における地下水利用と地下水水質への影響」を掲載し, 特集「震災と地下水」(学会誌, 55(1), 2013.2)では, 「論説:谷口真人:安全保障としての地下水の重要性」, 「短報:大年邦雄ほか:東日本大震災における井戸被害についての現地調査」, 「資料:中川 啓ほか:平成23年東北地方太平洋沖地震の津波による水源地下水への影響について」, 「資料:勝見 武ほか:東日本大震災により発生した災害廃棄物・津波堆積物の処理と有効利用について」, 「資料:谷口真人・中島 誠:シンポジウム「震災時の非常用水源としての地下水利用の在り方」」を掲載した.いずれもJ-stageで公開されているので,ぜひごらんになっていただきたい(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jagh/-char/ja/).現地調査に関しては, 水文・水資源学会との合同調査団(調査団長:開發一郎)を組織し, 2011年6月16日~19日および2011年8月1日~3日に, 釜石市, 陸前高田市, 南三陸町の水道事業所における資料収集・水源での採水, 仙台市若葉区の災害対策井戸における採水を行った.また追加調査として2011年11月22日~23日に, 東京大学と長崎大学で, 調査対象地を南三陸町に絞り, 地下水・河川水・土壌のサンプリングを行った.調査では, 主に津波による水道水源の地下水の塩水化からの回復傾向について調べた.