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[SSS27-06] 2014年長野県北部地震に先行した長期的温泉水温変化
キーワード:2014年長野県北部地震, 地震予知, 前兆, 水温, 岩盤膨張, 岩盤収縮
2014年11月22日の長野県北部地震(長野県神城断層地震)は,1986-90ごろからその地震像が描き出されていた(地震予知総合研究振興会,1990,地震テクトニクスに関する総合研究 第3章 北部フォッサマグナ周辺に発生可能な地震像,83-142.).その主な根拠は,
1) 歴史上の地震(1714年 M6.3)の存在.
2) 活動度Aの活断層(神城断層)の存在.
3) 1714年の地震以後,白馬付近では目立った地震活動はない.長期の空白域である.
4) この糸魚川・静岡構造線に沿った地帯は,連鎖的に地震が発生する(1714, 1858, 1890, 1918年の各地震).
5) 1986年の地震(M5.9)が前駆的な地震活動である可能性がある.
6) 90年間の三角測量(三辺測量)によると地殻歪が集中的に蓄積している.最大せん断歪は4~6x10-5(5~7x10-7/yr).先の地震(1714年)から蓄積したとすると,緩和された分を考慮しても,地震がもうすでに発生してもよいという確率は高い.東西方向の縮みが確認されている.歪蓄積の範囲から規模を推定するとM6~7.
白馬地域を主なターゲットとした1995-2008年の東京大学地震研究所の共同研究プロジェクト「内陸直下地震の予知 - 地震研究所特定共同研究A」では種々の観測がおこなわれた.その中で,白馬倉下の湯温泉の源泉(白馬鉱山HR-1号泉)に於いては1998年10月から現在まで水温の連続観測がおこなわれている.泉源からガス圧で自噴した温泉水は、まず4tタンクに貯蔵されてガス抜きされる。このタンクから90tタンクへ向けてポンプアップが行なわれる.4tタンクからのオーバーフローの水を流す排水路のマンホール(湯溜)に白金抵抗体水温計を設置している.
水温グラフのだいたいの傾向に注目すると,地震の5年ほど前から,それまではほぼ一定(若干下降 -0.17℃/year)だった水温に明瞭な下降傾向が見える(-1.5℃/year).これは,震源域の神城断層付近では地震の前からねじれ歪が生じ,断層の西側,下盤側に位置する倉下の湯直下では引っ張りが働き,岩盤膨張,圧力低下,上昇流体の量減少,そして水温低下となったと考えると理解できる.温泉は地震後自噴が停止した(12月18日には回復).これも地震による,より大きな岩盤膨張のためと理解できる.
1) 歴史上の地震(1714年 M6.3)の存在.
2) 活動度Aの活断層(神城断層)の存在.
3) 1714年の地震以後,白馬付近では目立った地震活動はない.長期の空白域である.
4) この糸魚川・静岡構造線に沿った地帯は,連鎖的に地震が発生する(1714, 1858, 1890, 1918年の各地震).
5) 1986年の地震(M5.9)が前駆的な地震活動である可能性がある.
6) 90年間の三角測量(三辺測量)によると地殻歪が集中的に蓄積している.最大せん断歪は4~6x10-5(5~7x10-7/yr).先の地震(1714年)から蓄積したとすると,緩和された分を考慮しても,地震がもうすでに発生してもよいという確率は高い.東西方向の縮みが確認されている.歪蓄積の範囲から規模を推定するとM6~7.
白馬地域を主なターゲットとした1995-2008年の東京大学地震研究所の共同研究プロジェクト「内陸直下地震の予知 - 地震研究所特定共同研究A」では種々の観測がおこなわれた.その中で,白馬倉下の湯温泉の源泉(白馬鉱山HR-1号泉)に於いては1998年10月から現在まで水温の連続観測がおこなわれている.泉源からガス圧で自噴した温泉水は、まず4tタンクに貯蔵されてガス抜きされる。このタンクから90tタンクへ向けてポンプアップが行なわれる.4tタンクからのオーバーフローの水を流す排水路のマンホール(湯溜)に白金抵抗体水温計を設置している.
水温グラフのだいたいの傾向に注目すると,地震の5年ほど前から,それまではほぼ一定(若干下降 -0.17℃/year)だった水温に明瞭な下降傾向が見える(-1.5℃/year).これは,震源域の神城断層付近では地震の前からねじれ歪が生じ,断層の西側,下盤側に位置する倉下の湯直下では引っ張りが働き,岩盤膨張,圧力低下,上昇流体の量減少,そして水温低下となったと考えると理解できる.温泉は地震後自噴が停止した(12月18日には回復).これも地震による,より大きな岩盤膨張のためと理解できる.