15:30 〜 15:45
[MAG38-20] 最適内挿法による福島原発事故により放出された134Cs及び137Csの分布及びインベントリ見積もり
キーワード:福島第一原子力発電所, ^{134} Cs, ^{137} Cs, 北太平洋, 最適内挿法, インベントリ
福島第一原子力発電所(TEPCO-FNPP1)から放出された人工放射性核種(134Cs, T1/2 2.06年; 137Cs,T1/2 30.07年)の海洋表層における分布とその時間変化を、最適内挿法を用いて解析した。解析期間は、人工放射性核種漏洩直後の2011月3月から2011年5月までである。解析には、論文や報告書等において公表されているすべてのデータを使用した。
人工放射性核種の直接漏洩のあった3月下旬―4月上旬にかけて、TEPCO-FNPP1の沿岸域における134Cs及び137Cs濃度は非常に高い値であった。134Cs及び137Csの高濃度域は、北緯40度付近を中心に、東経165度付近まで輸送されていく様子が明らかになった。
最適内挿法による解析値を用いて推定した北太平洋における134Csのインベントリは、15.2±1.8 PBqと推定された。また、そのうち半分に相当する8.3±1.8 PBqが、TEPCO-FNPP1沿岸部(<東経141.5度)に分布していた。海洋への137Csの直接漏洩量が3.5±0.7 PBq (Tsumune et al., 2012) と報告されていることから、海洋への直接漏洩に加えて、大気から海洋への降下量が沿岸部のインベントリにも寄与しているものと考えられる。
大規模な直接漏洩が停止した4月6日以降、134Cs放射能は約4.2日の見かけの半減時間で指数関数的に減少しており、2011年5月中旬には約2±0.4 PBqに減少していたことが推定された。
TEPCO-FNPP1事故以前の北太平洋における137Csは、1950年代―60年代の大規模大気圏核実験由来のものであり、その存在量は69PBqであった。134Csはその半減期が短いことから大気圏核実験由来の存在量は極めて少ないものと考えられる。福島第一原子力発電所から大気及び海洋に放出された134Cs/137Cs比が約1であること、その値は事故後1カ月程度は海域による違いはみとめられなかったことから、TEPCO-FNPP1からの134Csと137Csの放出量はほぼ等しいと考えることができる。これらのことを考慮すると、TEPCO-FNPP1事故によって、北太平洋の137Csのインベントリは、約20%増加したものと推定された。
人工放射性核種の直接漏洩のあった3月下旬―4月上旬にかけて、TEPCO-FNPP1の沿岸域における134Cs及び137Cs濃度は非常に高い値であった。134Cs及び137Csの高濃度域は、北緯40度付近を中心に、東経165度付近まで輸送されていく様子が明らかになった。
最適内挿法による解析値を用いて推定した北太平洋における134Csのインベントリは、15.2±1.8 PBqと推定された。また、そのうち半分に相当する8.3±1.8 PBqが、TEPCO-FNPP1沿岸部(<東経141.5度)に分布していた。海洋への137Csの直接漏洩量が3.5±0.7 PBq (Tsumune et al., 2012) と報告されていることから、海洋への直接漏洩に加えて、大気から海洋への降下量が沿岸部のインベントリにも寄与しているものと考えられる。
大規模な直接漏洩が停止した4月6日以降、134Cs放射能は約4.2日の見かけの半減時間で指数関数的に減少しており、2011年5月中旬には約2±0.4 PBqに減少していたことが推定された。
TEPCO-FNPP1事故以前の北太平洋における137Csは、1950年代―60年代の大規模大気圏核実験由来のものであり、その存在量は69PBqであった。134Csはその半減期が短いことから大気圏核実験由来の存在量は極めて少ないものと考えられる。福島第一原子力発電所から大気及び海洋に放出された134Cs/137Cs比が約1であること、その値は事故後1カ月程度は海域による違いはみとめられなかったことから、TEPCO-FNPP1からの134Csと137Csの放出量はほぼ等しいと考えることができる。これらのことを考慮すると、TEPCO-FNPP1事故によって、北太平洋の137Csのインベントリは、約20%増加したものと推定された。