18:15 〜 19:30
[G04-P04] SSH指定校に勤務経験のある教師の役割
キーワード:SSH指定校, 地学教育, 地学部, 仮説演繹法, 特別な分析機器
1.はじめに
筆者は平成25年度までの10年間、SSH指定校である兵庫県立加古川東高等学校に勤務した。その間、地学教育に力を注ぎ、文系理系を問わず地学の講座を学年全体で開講した。指導した地学部は、日本地質学会や日本物理学会等で最優秀賞を得たほか、研究論文が文部科学大臣賞を得るなど高い評価を得た。筆者もその指導が評価され、文部科学大臣優秀教職員表彰や野依科学奨励賞、日本物理学会功労賞、神奈川大学優秀指導者賞などを受賞した。
筆者は、本年度県立西脇高等学校に異動し、地学部と生物部を立ち上げて顧問となった。また科学教育コースの生徒の指導をはじめとした理科教育全体の活性化を任された。年間予算はSSH校の20分の1程度という状況で、自分に求められている役割は何か、それを果たすためにどのような方法があるか、を毎日考えている。
筆者はSSH校で勤務していた間に、いつの間にか教師の意識が、SSH校設置の理念である「ハイレベルな理数教育の研究開発の実施とその成果の普及」から「SSH校でしかできない課題研究」に変化しやすいことに気付いていた。多額の税金を得て実施しているSSH事業では、その予算を執行する教師の力量が試されている。SSH校に勤務している間の筆者の研究テーマは、どうすれば特別な分析装置を用いずに、オリジナリティーとプライオリティーのある研究をおこなうことができるのか、発想力をどのように育てるか、であった。SSH校での経験と知識と人脈は,そのまま現在の勤務校で活かされている.
2.現在進めている具体的な活動
西脇高等学校は、兵庫県南部の山間部に位置している。1学年あたり普通科7クラス、生活情報科1クラスで構成されており、70名程度が国立大学に進学する。生徒はのんびりとした気質で非常にまじめであるが、経験のない新しいことに挑戦することは苦手である。川勝の赴任と同時に地学部を作ったところ、約30名の生徒が研究への参加を申し出た。彼らは、積極的にオリジナリティーにあふれたテーマの研究に取り組んでいる。生徒は刺激を渇望していたことを実感している。彼らは、仮説演繹法によって思考し、成果を論文やポスターにまとめて発表している。筆者は、SSH校で得た経験と知識や人脈を活用し、特別な分析機器を用いない研究を実践している。本校の予算はわずかだが、費用がかからない研究発表会や論文大会が多くあるので、生徒はそれらに応募して発表している。本校地学部は、研究を始めてわずか半年ですでに全国上位入賞を果たしている。現在生徒は、2つの研究を行っている。(1)西脇市を中心とした兵庫県南部の形成過程を明らかにする地史学的研究、(2)マンホールの周囲に生じたひび割れから地盤の動きを推定し、地盤の整備基準を提言する環境工学的研究。筆者は、神戸大学を中心とした機関連携プロジェクトのコアメンバーとして、市民と科学者とを結びつける活動を行っている。
筆者は平成25年度までの10年間、SSH指定校である兵庫県立加古川東高等学校に勤務した。その間、地学教育に力を注ぎ、文系理系を問わず地学の講座を学年全体で開講した。指導した地学部は、日本地質学会や日本物理学会等で最優秀賞を得たほか、研究論文が文部科学大臣賞を得るなど高い評価を得た。筆者もその指導が評価され、文部科学大臣優秀教職員表彰や野依科学奨励賞、日本物理学会功労賞、神奈川大学優秀指導者賞などを受賞した。
筆者は、本年度県立西脇高等学校に異動し、地学部と生物部を立ち上げて顧問となった。また科学教育コースの生徒の指導をはじめとした理科教育全体の活性化を任された。年間予算はSSH校の20分の1程度という状況で、自分に求められている役割は何か、それを果たすためにどのような方法があるか、を毎日考えている。
筆者はSSH校で勤務していた間に、いつの間にか教師の意識が、SSH校設置の理念である「ハイレベルな理数教育の研究開発の実施とその成果の普及」から「SSH校でしかできない課題研究」に変化しやすいことに気付いていた。多額の税金を得て実施しているSSH事業では、その予算を執行する教師の力量が試されている。SSH校に勤務している間の筆者の研究テーマは、どうすれば特別な分析装置を用いずに、オリジナリティーとプライオリティーのある研究をおこなうことができるのか、発想力をどのように育てるか、であった。SSH校での経験と知識と人脈は,そのまま現在の勤務校で活かされている.
2.現在進めている具体的な活動
西脇高等学校は、兵庫県南部の山間部に位置している。1学年あたり普通科7クラス、生活情報科1クラスで構成されており、70名程度が国立大学に進学する。生徒はのんびりとした気質で非常にまじめであるが、経験のない新しいことに挑戦することは苦手である。川勝の赴任と同時に地学部を作ったところ、約30名の生徒が研究への参加を申し出た。彼らは、積極的にオリジナリティーにあふれたテーマの研究に取り組んでいる。生徒は刺激を渇望していたことを実感している。彼らは、仮説演繹法によって思考し、成果を論文やポスターにまとめて発表している。筆者は、SSH校で得た経験と知識や人脈を活用し、特別な分析機器を用いない研究を実践している。本校の予算はわずかだが、費用がかからない研究発表会や論文大会が多くあるので、生徒はそれらに応募して発表している。本校地学部は、研究を始めてわずか半年ですでに全国上位入賞を果たしている。現在生徒は、2つの研究を行っている。(1)西脇市を中心とした兵庫県南部の形成過程を明らかにする地史学的研究、(2)マンホールの周囲に生じたひび割れから地盤の動きを推定し、地盤の整備基準を提言する環境工学的研究。筆者は、神戸大学を中心とした機関連携プロジェクトのコアメンバーとして、市民と科学者とを結びつける活動を行っている。