日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM22] 地形

2015年5月26日(火) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、小口 千明(埼玉大学大学院理工学研究科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

18:15 〜 19:30

[HGM22-P08] 宇宙線生成核種によるチベット高原北東縁共和盆地の発達過程の解明

*白濱 吉起1宮入 陽介2何 宏林3狩野 謙一4岡田 真介5横山 祐典2池田 安隆1 (1.東京大学大学院地球惑星科学専攻、2.東京大学大気海洋研究所、3.中国地震局地質研究所、4.静岡大学防災総合センター、5.東北大学災害科学国際研究所)

キーワード:チベット高原, 柴達木盆地, 変動地形, 宇宙線生成核種

チベット高原はインドプレートとユーラシアプレートの衝突によって周囲の地殻を変形させつつその領域を側方へと拡大している.しかし,そのメカニズムについては盛んに議論されているものの,よくわかっていない.チベット高原北東縁に位置する共和盆地はその拡大フロントに位置し,活動的に隆起する北側のQinghai Nan Shanと南側のHeka Shanにはさまれた平均標高3200 mの盆地である.共和盆地はかつて黄河が運搬した厚さ500 m以上の堆積物で埋積されたが,その後黄河は下刻に転じ,下刻に伴って多数の段丘が形成された.本盆地の埋積とそれに続く下刻の過程を明らかにすることは,チベット高原の側方拡大過程を明らかにする上で重要である.しかし,現在のところそれらの詳細は明らかになっていない.そこで,我々は本地域において詳細な地形分類を行うとともに,堆積物中の宇宙線生成放射性核種濃集量を分析することにより,盆地の埋積とそれに続く下刻の過程を明らかにすることを試みた.まず,衛星写真と地形データによる地形判読により,高位から順にT1からT7までの河成段丘とL1からL4までの湖成段丘が存在することを明らかにした.現地調査の結果,最上位の湖成段丘L1面は,少なくとも3層の古土壌を含む2-3 m以上の厚さのレスに覆われており,離水後少なくとも三度の間氷期を経験していることを示唆する.さらに,われわれは宇宙線生成核種濃集量の分析によって段丘面の離水年代を決定するため,最高位の湖成段丘面とT2面,T3面の河成段丘面上から深度別のサンプル採取を行った.また,盆地の埋積過程を復元するために,盆地堆積物の頂面から谷底まで,深度およそ50mごとに9点の試料を採取した.本発表ではこれらの分析結果の一部とそれによって明らかになった共和盆地の発達過程について紹介する.