日本地球惑星科学連合2015年大会

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セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG36] 惑星と閉鎖生態系における生物のシステム―微生物からヒトまで

2015年5月24日(日) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*富田ー横谷 香織(筑波大学大学院生命環境科学研究科)、小島 洋志(なし)

18:15 〜 19:30

[HCG36-P04] 糸状菌細胞壁構築成分量とエンドファイトの存在量

*加藤木 ひとみ1横島 美香1藤森 祥平1木村 駿太1佐藤 誠吾1富田-横谷 香織1 (1.筑波大学)

キーワード:内生菌, 共生, 閉鎖生態系

エンドファイトとは、植物体内に病徴を示さずに生活する微生物で、狭義にイネ科草本に共生する麦角菌科の糸状菌を指す。麦角菌科Neotyphodium属のエンドファイトは種子伝播するが、植物の各成長段階におけるエンドファイトの詳細な生活環は明らかではない。本研究は、Neotyphodium sp. Fe-047非感染及び感染トールフェスク(Festuca arundinacea)を材料とし、糸状菌細胞壁構築成分(キチン)を酵素分解して得られた(GlcNAc)2を定量することで、種子及び芽生え内のエンドファイトの存在を調べ、菌体相当量を算出した。本定量法は、糸状菌に共通する分子を指標とするため汎用性に優れている。また、細胞壁構築成分が菌体量に直結し、これまでのたんぱく質や遺伝子を用いた手法と比較して正確性に優れた手法と考えられる。
 陸上植物の80-90 %に糸状菌が共生していると考えられているが、宇宙環境を模擬した微小重力環境下において、植物とエンドファイトとの共生関係が崩れることが報告されている。人工の過酷な閉鎖生態系での植物とエンドファイトとの共生関係における、本研究法の利用価値について考察する。