14:15 〜 14:30
[SSS29-03] 断層摩擦発熱に伴う炭質物熟成の特徴:断層岩中の炭質物のラマン分析より
キーワード:ラマン分光分析, 炭質物, 摩擦発熱
地震時の断層面での摩擦発熱履歴の評価は,地震の滑り挙動およびメカニズムの理解において極めて重要である.近年,過去に活動した断層の摩擦発熱履歴の評価手法として炭質物ラマン温度計を断層摩擦発熱の評価に応用する試みがなされつつある.
本研究では,海底下2.5-5.5 km で形成された化石巨大分岐断層(四国南西部四万十帯久礼アウトオブシーケンススラスト),海底下1-4 km で形成された大規模逆断層(房総半島江見層群),1999年台湾集集地震で活動したチェルンプ断層の3つの断層を対象に,断層岩中に含まれる炭質物および段階加熱処理を施した断層近傍の母岩中に含まれる炭質物のラマン分光分析を実施し,断層摩擦発熱のような瞬間加熱に伴う炭質物のラマンスペクトルの変化について調べた.またこれらのスペクトルの変化と,続成作用に伴う炭質物の熱熟成におけるラマンスペクトルの変化との比較も行った.
断層摩擦発熱のような短時間の被熱と,続成作用に伴う炭質物の熱熟成とでは,ラマンスペクトルの変化の仕方,すなわち炭質物の分子構造の変化の仕方が異なることが明らかとなった.このことは,近年開発されつつある炭質物のラマン地質温度計を断層中の炭質物の摩擦発熱温度の評価には応用できないことを示している.
本発表では,断層摩擦発熱のような短時間の被熱による炭質物のラマンスペクトルの特徴について紹介する.また,断層岩中の炭質物の摩擦発熱レベルを評価する方法として,断層母岩中に含まれる炭質物を出発物質として,その炭質物の加熱実験を行う方法を提案する.加熱した母岩中炭質物のラマンスペクトルの変化を定量的に評価することにより,断層摩擦発熱レベルを評価できると考えられる.
本研究では,海底下2.5-5.5 km で形成された化石巨大分岐断層(四国南西部四万十帯久礼アウトオブシーケンススラスト),海底下1-4 km で形成された大規模逆断層(房総半島江見層群),1999年台湾集集地震で活動したチェルンプ断層の3つの断層を対象に,断層岩中に含まれる炭質物および段階加熱処理を施した断層近傍の母岩中に含まれる炭質物のラマン分光分析を実施し,断層摩擦発熱のような瞬間加熱に伴う炭質物のラマンスペクトルの変化について調べた.またこれらのスペクトルの変化と,続成作用に伴う炭質物の熱熟成におけるラマンスペクトルの変化との比較も行った.
断層摩擦発熱のような短時間の被熱と,続成作用に伴う炭質物の熱熟成とでは,ラマンスペクトルの変化の仕方,すなわち炭質物の分子構造の変化の仕方が異なることが明らかとなった.このことは,近年開発されつつある炭質物のラマン地質温度計を断層中の炭質物の摩擦発熱温度の評価には応用できないことを示している.
本発表では,断層摩擦発熱のような短時間の被熱による炭質物のラマンスペクトルの特徴について紹介する.また,断層岩中の炭質物の摩擦発熱レベルを評価する方法として,断層母岩中に含まれる炭質物を出発物質として,その炭質物の加熱実験を行う方法を提案する.加熱した母岩中炭質物のラマンスペクトルの変化を定量的に評価することにより,断層摩擦発熱レベルを評価できると考えられる.