日本地球惑星科学連合2015年大会

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ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG30] 太陽系小天体研究の新展開

2015年5月26日(火) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*荒川 政彦(神戸大学大学院理学研究科)、中本 泰史(東京工業大学)、渡邊 誠一郎(名古屋大学大学院環境学研究科地球環境科学専攻)、安部 正真(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)、石黒 正晃(ソウル大学物理天文学科)

18:15 〜 19:30

[PCG30-P05] はやぶさ帰還試料キュレーションの現状

*矢田 達1安部 正真1上椙 真之1唐牛 譲1中藤 亜衣子1熊谷 和也1岡田 達明1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:小惑星, イトカワ, はやぶさ, キュレーション, サンプルリターン, LLコンドライト

JAXA地球外物質キュレーションチームでは、2010年の試料帰還以降、「はやぶさ」帰還試料の初期記載を継続している(Yada et al., 2014)。「はやぶさ」の帰還試料を収めるキャッチャーはA室、B室、回転筒の3つの領域に区切られており、2013年までにそれぞれA室、B室から合成石英ガラス円盤上に落下回収した試料の記載を行っていた。それに対して、キャッチャーB室フタは、キャッチャーB室から取り外された部品をそのまま観察しており、比較的偏りの少ない粒子群と目される。2013年末から新たに開発した密閉型ホルダーを使用して、このB室フタを直接電子顕微鏡に導入し、全域のマップ撮影による15ミクロン以上の全粒子記載を始めており、2015年2月現在までに、そのおよそ2/3の領域までの記載を終了した。その結果、B室フタ上で記載された粒子数は1800個を上回り、イトカワ起源と考えられる主にケイ酸塩鉱物から成る粒子は、この内400個超となった。
 この内、拾い出して初期記載を終えた100個強の粒子を加えて、第3回目の国際公募研究を2015年1月に発表して、3月まで研究テーマを公募している。国際公募研究委員会による査読過程を経て、6月には審査結果を公表し、7月から粒子の配布を開始する予定である。
 今後の予定としては、 2015年度上半期中にはB室フタ上粒子の記載を終え、下半期にかけてキャッチャー内の未回収の領域である回転筒からの粒子回収を行う予定である。

参考文献:
Yada T. et al. (2014) Meteoritics Planet. Sci. 49, 135.