18:15 〜 19:30
[U06-P16] 宇宙線生成核種の測定による過去の太陽活動の調査
キーワード:太陽活動, 宇宙線生成核種
地球へ入射する宇宙線によって、 14Cや10Beといった宇宙線生成核種が作られる。これらの核種は樹木年輪や氷床などへ蓄積されるため、アーカイブサンプル中の核種濃度を測定することで過去の宇宙線強度を調査できる。また地球への宇宙線強度は太陽地球間磁場によって影響されているため、宇宙線生成核種濃度は過去の太陽活動も反映していると考えられる。
14C濃度測定の先行研究として、過去1万年を超える10年分解能のIntCal変動曲線があり、長期的な太陽活動が緩やかな変化として現れている。また、1年分解能の測定もマウンダー極小期をはじめとするいくつかの太陽活動極小期(Grand Solar Minimum)を対象に行われており、太陽活動度と太陽の11年周期として知られるシュワーベサイクル長との間に逆相関の傾向が報告されている。しかし、シュペーラー型の太陽活動極小期にはこの傾向が弱く、完全に理解されていないため、さらに長期間の単年14Cデータが必要である。
一方、太陽面爆発(フレア、CME)により大規模なSPE(Soar Proton Event)が発生した場合、短期間に到来宇宙線量が増加し宇宙線生成核種濃度の急激な上昇が期待できる。これまでに14C濃度単年測定から、西暦774-775年と西暦993-994年の2つの宇宙線急増イベントが見つかっており、10Be濃度にもこれらのイベントの存在が示されている。これらのイベントは非常に大規模なSPEによって引き起こされたと考えられ、仮に同規模のイベントが現在発生した場合、人間活動に与える影響も甚大だと予想される。従って大規模SPEの発生頻度や発生の仕方を明らかにすることが非常に重要となり、これらは過去長期にわたる単年14C濃度測定により明らかになると期待できる。
現在、過去5千年間の日本産樹木と、1万年間の北米産樹木を用いた14C濃度単年測定を計画しており、この1万年間の太陽活動周期や大規模SPE頻度の調査を予定している。本講演では過去1万年間の単年14C濃度測定計画とともに、さらに長期間の調査が可能な氷床中10Be濃度測定への展望について述べる。
14C濃度測定の先行研究として、過去1万年を超える10年分解能のIntCal変動曲線があり、長期的な太陽活動が緩やかな変化として現れている。また、1年分解能の測定もマウンダー極小期をはじめとするいくつかの太陽活動極小期(Grand Solar Minimum)を対象に行われており、太陽活動度と太陽の11年周期として知られるシュワーベサイクル長との間に逆相関の傾向が報告されている。しかし、シュペーラー型の太陽活動極小期にはこの傾向が弱く、完全に理解されていないため、さらに長期間の単年14Cデータが必要である。
一方、太陽面爆発(フレア、CME)により大規模なSPE(Soar Proton Event)が発生した場合、短期間に到来宇宙線量が増加し宇宙線生成核種濃度の急激な上昇が期待できる。これまでに14C濃度単年測定から、西暦774-775年と西暦993-994年の2つの宇宙線急増イベントが見つかっており、10Be濃度にもこれらのイベントの存在が示されている。これらのイベントは非常に大規模なSPEによって引き起こされたと考えられ、仮に同規模のイベントが現在発生した場合、人間活動に与える影響も甚大だと予想される。従って大規模SPEの発生頻度や発生の仕方を明らかにすることが非常に重要となり、これらは過去長期にわたる単年14C濃度測定により明らかになると期待できる。
現在、過去5千年間の日本産樹木と、1万年間の北米産樹木を用いた14C濃度単年測定を計画しており、この1万年間の太陽活動周期や大規模SPE頻度の調査を予定している。本講演では過去1万年間の単年14C濃度測定計画とともに、さらに長期間の調査が可能な氷床中10Be濃度測定への展望について述べる。