09:45 〜 10:00
[PCG32-14] 水星ナトリウム大気の長期時間変動
キーワード:水星, 外気圏
水星は極めて希薄な大気を持つ。水星大気に対してこれまでに、水星探査機Mariner 10とMESSENGERによる観測、および地上観測が行われてきた。これらの観測により、大気中にH、He、O、Na、Mg、K、Caが存在することが知られている。これらの原子は太陽光のエネルギーを受けて共鳴散乱により発光する。これらの中でもナトリウムは発光強度が高く、地上観測に適しているため多くの観測が行われてきた。水星のナトリウム大気の生成過程は、太陽光による表面原子の脱離、太陽風イオンによるスパッタリング、微小隕石の衝突による水星表面や隕石中の原子の気化などが考えられている。これらの過程は複合して起こると考えられているが、主な生成過程は未だ明らかにされていない。
本研究ではハワイ・ハレアカラ観測所の口径40cmのシュミット・カセグレン式望遠鏡、高分散エシェル分光器、およびCCDカメラを使用して水星ナトリウム大気光の分光観測を行い、水星大気中のナトリウム原子数の日ごとの変動を調べた。水星は太陽に最も近い惑星であるため、観測に適した時間は限られている。私たちは水星と太陽の離角が15度以上の時期に、日の出前または日没後の30分から1時間程度の時間内に観測を行った。地上から観測できる大気光は昼側全体ではなく一部であり、観測できる大気光の割合は位相角によって変化する。そのため一定の大気温度を仮定した大気モデルをもとに、位相角ごとに観測可能な大気光の割合を計算し、昼面全体のナトリウム原子数を推定した。
惑星間空間の微小隕石はある平面(ダスト対称面)に集中して対称に分布することが知られているが、水星近傍における詳細な分布は知られていない。私たちは大気生成に対する微小隕石衝突の寄与を検証するために、Kelsall et al. [1998]による隕石分布モデルを単純化して用い、大気中のナトリウム原子数との相関が最大になるときのモデルのパラメータを求めた。その際、ダスト対称面の軌道傾斜角と昇交点黄経は、Helios1 ,2による黄道光の観測により求められた値を用いた。その結果、相関係数r=0.856の強い相関が示された。この結果は微小隕石の衝突が大気生成に大きく寄与していることを示唆している。
微小隕石の衝突は惑星表面下から物質を拡散し新しい表面を露出させる効果(ガーデニング効果)を持ち、また隕石自体にナトリウム原子を含むため、水星表面にナトリウム原子が供給されると考えられている。これらの効果により、微小隕石衝突は表面原子を気化して放出させるだけでなく、他の過程による大気生成を増加させる過程としても重要であると考えられる。
本研究ではハワイ・ハレアカラ観測所の口径40cmのシュミット・カセグレン式望遠鏡、高分散エシェル分光器、およびCCDカメラを使用して水星ナトリウム大気光の分光観測を行い、水星大気中のナトリウム原子数の日ごとの変動を調べた。水星は太陽に最も近い惑星であるため、観測に適した時間は限られている。私たちは水星と太陽の離角が15度以上の時期に、日の出前または日没後の30分から1時間程度の時間内に観測を行った。地上から観測できる大気光は昼側全体ではなく一部であり、観測できる大気光の割合は位相角によって変化する。そのため一定の大気温度を仮定した大気モデルをもとに、位相角ごとに観測可能な大気光の割合を計算し、昼面全体のナトリウム原子数を推定した。
惑星間空間の微小隕石はある平面(ダスト対称面)に集中して対称に分布することが知られているが、水星近傍における詳細な分布は知られていない。私たちは大気生成に対する微小隕石衝突の寄与を検証するために、Kelsall et al. [1998]による隕石分布モデルを単純化して用い、大気中のナトリウム原子数との相関が最大になるときのモデルのパラメータを求めた。その際、ダスト対称面の軌道傾斜角と昇交点黄経は、Helios1 ,2による黄道光の観測により求められた値を用いた。その結果、相関係数r=0.856の強い相関が示された。この結果は微小隕石の衝突が大気生成に大きく寄与していることを示唆している。
微小隕石の衝突は惑星表面下から物質を拡散し新しい表面を露出させる効果(ガーデニング効果)を持ち、また隕石自体にナトリウム原子を含むため、水星表面にナトリウム原子が供給されると考えられている。これらの効果により、微小隕石衝突は表面原子を気化して放出させるだけでなく、他の過程による大気生成を増加させる過程としても重要であると考えられる。