日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG16] Deep Carbon Cycle

2015年5月28日(木) 16:15 〜 18:00 201A (2F)

コンビーナ:*佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、鍵 裕之(東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、座長:佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)、鍵 裕之(東京大学大学院理学系研究科附属地殻化学実験施設)、大谷 栄治(東北大学大学院理学研究科地学専攻)

17:30 〜 17:45

[SCG16-13] 月マントル中の炭素

*中村 良介1山本 聡2松永 恒雄2石原 吉明3 (1.産業技術総合研究所、2.国立環境研究所、3.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:地球, 月, マントル, 炭素, リモートセンシング, かぐや

月が原始地球への巨大衝突(いわゆるジャイアントインパクト)によって形成されたとすると、その組成は地球の原始マントルの組成を反映しているはずである。衝突直後に地球の周囲に形成される円盤ではシリケイトすら蒸発しており、水や有機物といった揮発性元素の大部分はこの時に失われてしまうはずである。例外があるとすれば地球マントル中にグラファイトあるいはダイヤモンドといった揮発性が非常に低い形態で含まれていた炭素である。

一方、アポロが持ち帰った月の海の玄武岩の多くは発泡した形跡を示す。また15号や17号では、火山性ガラスのも採取されており、これらは揮発性の高いガスによってマグマが表面に急激に噴出することで形成されたと考えられている。このガスは月のマントル中に含まれる炭素が、上昇中に酸化されて形成された一酸化炭素ではないかと考えられている(Sato 1979)。

日本の月探査機かぐやに搭載されていたスペクトルプロファイラーは、月で最大の火山性ガラス噴出地帯が、熱の入江に存在することを発見した(Yamamoto 2014)。この火山性ガラスが一酸化炭素のみから生成されたと仮定すれば、必要なガスの量を見積もり、それを月マントル中の炭素量と結びつけることができる。その総量から、月マントル中の炭素が(1)巨大衝突を得て地球マントルから引き継がれたものであるのか(2)あるいは月形成後にもたらされたものであるのか、について議論する。