日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD21] 測地学一般

2015年5月28日(木) 11:00 〜 12:45 303 (3F)

コンビーナ:*風間 卓仁(京都大学理学研究科)、松尾 功二(国土地理院)、座長:太田 雄策(東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター)、関戸 衛(情報通信研究機構鹿島宇宙技術センター)

12:30 〜 12:45

[SGD21-07] マルチGNSSによる高精度測位技術の開発-測量におけるマルチGNSSの利活用に向けて-

*鎌苅 裕紀1古屋 智秋1万所 求1辻 宏道1田中 和之1宮川 康平1佐藤 雄大1畑中 雄樹1宗包 浩志1川元 智司1 (1.国土交通省国土地理院)

キーワード:GNSS, 測量, Beidou

国土地理院では、平成23年度より、国土交通省総合技術開発プロジェクト「高度な国土管理のための複数の衛星測位システム(マルチGNSS)による高精度測位技術の開発」(平成23~26年度)として、これまでGPS測量が困難であったビル街等を含め、国土管理に必要な高精度測位の効率的な実施のため、米国のGPSをはじめ、日本の準天頂衛星、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、中国のBeidouといった各国の衛星測位システムのデータを統合的に利用するマルチGNSS高精度測位技術の開発及び標準化に向けた検討を実施した。
平成26年度は、受信機の各衛星系回路間の遅延差に起因して発生する受信機ハードウェアバイアス(ISB)について、Beidouと他の衛星系間における検証を実施した。検証の結果、Beidouと他の衛星系間では受信機のファームウェアの違いや受信機の再起動によってISBが大きく変動することが判明した。また、BeidouにはGEO、MEO、IGSOの異なる3種類の衛星軌道があり、GEOとMEO、IGSO間に1/2サイクルのバイアス(ISTB)が存在することが判明した。
また、Galileoを含むマルチGNSSの観測およびL5信号の受信が可能な受信機を利用して、日本全国5地区(北海道、群馬、つくば、東京、神奈川)においてGNSS衛星の試験観測を行い、それら観測点を組み合わせてできる様々な基線について、Galileoを含むGNSS衛星で測量をする場合、L1、L2、L5帯の3周波数帯で測量をする場合、L5帯を含めた2周波数帯で測量をする場合の各場合において解析を実施し、Galileo、L5信号の効果や課題を評価した。特に東京地区においては、観測条件の厳しい複数の箇所で観測を実施し、都市部におけるマルチGNSS、L5信号の可能性を評価した。
なお、プロジェクトの実施にあたっては、外部有識者委員会を開催し、大学や関係機関のアドバイスを得ている。
(プロジェクトホームページ:http://www.gsi.go.jp/eiseisokuchi/gnss_main.html)