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[SCG57-16] 2014年11月22日長野県北部の地震(Mj6.7)震源域の稠密余震アレイ観測による余震分布と地殻構造
キーワード:稠密自然地震観測, 地震波トモグラフィー, 神城断層, 余震分布
2014年11月22日22時8分頃,長野県北部の深さ約5kmを震源とするマグニチュード6.7(M JMA6.7)の地震が発生した. この地震の余震域の西側には,糸魚川-静岡構造線の一部である神城断層の北部が位置しており,地表で確認されている活断層との関係を明らかにすることは,活断層の活動評価を行うにあたって重要である.また,高精度な余震分布や震源域付近の不均質構造は,地震発生様式を考える為に必要不可欠な情報である.そこで,3次元速度構造と余震分布を明らかにする目的で,余震域を含む領域に臨時地震観測点を約1km間隔で163箇所に設置し,独立型地震観測システム(GSX-3システム)を用いた稠密余震アレイ観測を実施した.また,地表断層付近には,10-20m間隔でトラップ波等の観測のために64点の観測点を設置した.観測は,2014年12月3日から2014年12月21日まで実施し,各観測点では,固有周波数4.5 Hz の地震計によって上下動及び水平動の3成分観測を行った.サンプリング周波数は250 Hzで行なった.気象庁一元化震源リストによると,余震域を含む研究対象地域(緯度35.5°-37.1°N:経度136.7°-139.0°E)では977個の地震の震源が決定されている.これら地震の震源時刻に従って,本観測で得た連続記録から地震毎へのデータ編集を実施した.その後,臨時観測点の波形データと本観測網周辺の40点のテレメータ観測点で得られている波形データとの統合作業を行った.このようにして作成した地震波形データから,震央ができるだけ均等に分布するように100イベントを抽出し,P波・S波の手動検測を行った.得られた走時データを用いてトモグラフィー解析(Thurber and Eberhart-Phillips,1999)を実施し,3次元速度構造と余震分布を求めた.トモグラフィー解析の初期モデルには,連携震源決定法(Kissling et al., 1994 )を用いて得た1次元速度構造モデルを使用した.得られた余震分布からは,本震の震源付近で東傾斜の余震分布が確認できる.また,神城断層を横切るP波速度構造の東西鉛直断面図から,神城断層の深部延長に東傾斜の低速度領域が確認できる.
謝辞:トモグラフィー解析をおこなうにあたっては,東京大学の波形データに加え,気象庁,防災科学技術研究所,京都大学のデータを利用しました.震源リスト作成には,気象庁と文部科学省が協力してデータを処理した結果(気象庁一元化処理震源リスト)を使用させて頂きました.ここに記して深く感謝の意を表します.
謝辞:トモグラフィー解析をおこなうにあたっては,東京大学の波形データに加え,気象庁,防災科学技術研究所,京都大学のデータを利用しました.震源リスト作成には,気象庁と文部科学省が協力してデータを処理した結果(気象庁一元化処理震源リスト)を使用させて頂きました.ここに記して深く感謝の意を表します.