日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT06] Early Earth - from accumulation to formation -

2015年5月24日(日) 16:15 〜 18:00 303 (3F)

コンビーナ:*坂巻 竜也(東北大学大学院理学研究科)、鈴木 昭夫(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、鎌田 誠司(東北大学大学院理学研究科)、Bjorn Mysen(Geophysical Laboratory, Carnegie Inst. Washington)、座長:鈴木 昭夫(東北大学大学院理学研究科地学専攻)

16:30 〜 16:45

[SIT06-16] マントル遷移層と下部マントルの化学組成の実験的制約

*入舩 徹男1 (1.愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

キーワード:超高圧実験, マントル遷移層, 下部マントル, 鉱物物性, 弾性波速度, パイロライト

川井型超高圧実験関連技術の開発により、マントルのより深部における相転移やそれに伴う密度・弾性波速度の精密測定が可能になっている。我々はこのような技術を用いてマントルや沈み込むスラブ関連物質のこれらの性質を実験的に決定し、マントル深部の化学組成に対して鉱物物性により制約を与えてきた。これまでの結果、マントル遷移層はその下部を除いて、上部マントルと同様にパイロライト的化学組成を持つとする結論に至っている。ただし、マントル遷移層下部の弾性波速度はパイロライトでは説明しにくく、何らかの化学組成変化が考えられる。一つの可能性として、この領域にスラブによりもたらされたハルツバージャイト質の物質の存在が考えられる。一方で、最近の肥後らによる下部マントル上部条件でのbridgmaniteの弾性波速度測定は、ブリルアン散乱法による結果と異なり、この領域においてもパイロライトが主要な構成物質である可能性を示している。この結果は最近の第一原理計算による予測とも一致し、マントルがCIコンドライトに比べてSiに欠乏している可能性を示唆している。