[M-IS32] 地球掘削科学

[MIS32-P04] 海底掘削試料中のクロミタイトに記録されている高温変成作用について

*阿部 なつ江¹、針金 由美子² (1.独立行政法人海洋研究開発機構海洋掘削科学研究開発センター、2.産業技術総合研究所地質情報研究部門)

キーワード：クロミタイト, IODP Exp. 345, 高温変成, モホ遷移帯, 海洋地殻, ODP Leg 209

ODP、IODPにおける海洋地殻および蛇紋岩掘削では、下部地殻下部?モホ遷移帯に相当すると思われるはんれい岩や蛇紋岩化かんらん岩、さらにはポディフォーム型クロミタイトなどが採取されている（ODP Leg 209, IODP Exps. 304/305, 345）。それらの試料の一部は、著しく変質しており、変はんれい岩や蛇紋岩になっている。一見、非変質と思われる高温角閃石や、クロムスピネルなども、詳細に観察すると、緑色岩相?角閃岩相相当の高温変成作用を受けて（Alt et al., 2003; Abe, 2011など）。とくに、低温で変質に比較的強いと考えられているクロムスピネルの高温変成作用中の変化については、オフィオライトやコマチアイト試料についての研究例はあるが、海底試料においては少なく、近年の海洋科学掘削の大きな成果の一つであろう。
　本発表では、ODP Leg 209およびIODP Exp. 345の成果を踏まえ、低速拡大および高速拡大プレートにおいて、下部地殻?最上部マントル付近の深さまで熱水が循環していた可能性を検討したい。