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[SVC45-04] 阿蘇火山2014-2015年噴火活動の概要について
キーワード:阿蘇火山, 2014噴火
阿蘇火山の中岳第一火口では、2014年11月下旬に21年ぶりとなるマグマ噴火が発生し、2015年2月現在も噴火活動は継続している。本講演では噴火に至る過程や噴火以降において、主として地球物理学的観測によって得られた結果について、それらの概要を述べる。なお、それぞれの観測結果は個別に発表される予定である。
阿蘇火山では、1989-1993年のマグマ噴火ののち1994-95年に土砂噴出(小規模な水蒸気爆発)が頻繁に発生したものの、その後は平穏な状態が続いていた。2000年11月から中岳第一火口南壁での赤熱現象が観測されるようになったが、依然として全面湯だまりの状態が継続していた。その後、湯だまり量の減少とともに、2003年7月、2004年1月、2005年4月にごく小規模な噴火が発生した。そして、南壁赤熱の消長、湯だまり量の増減を繰り返し、2011年5~6月にごく小規模な噴火が発生した。この際、気象庁の噴火警報及び噴火予報の運用開始以降はじめて、噴火警戒レベルが2に引き上げられた。
阿蘇火山周辺では、1993-2012年の水準測量により、中岳火口の西4kmの草千里を中心とする沈降が検出されていた。ただし、2008-2012年の沈降量は2004-2008年の沈降量の6割程度であり、このことは草千里下のマグマだまりに注入しているマグマ量の増加を示唆していた。2003年から開始されたGPS観測でも同様な変動が捉えられている。
その後、2013年4月より湯だまりの量が減少しはじめた。このことに対応する浅部比抵抗の増加がACTIVE観測(人工ソースを用いた電磁探査)により捉えられている(2013年5~9月)。2013年9月には、地震活動の活発化とガス放出量の急増が観測され、その直前には火口直下のクラック状火道での膨張現象が観測された。そして、2013年12月中旬にかけて短周期連続微動の振幅が徐々に大きくなり、同時期(2013年9月~2014年1月)には、地下250m以深の熱水だまり近傍での蓄熱を示す全磁力変化が検出された。また、2013年5月~2014年1月に地下250m以深で比抵抗増加が増加したことがACTIVE観測により捉えられている。
2013年12月には短周期連続微動の振幅が急増し噴火警戒レベルが2に引き上げられた。この微動の振幅は2014年1月2日に急減し、その後に中岳第1火口底に小火孔が開いたことが現地観測により確認されている。小火孔の形成と同時期に蓄熱傾向の磁力変化が収まった。そして、1月中旬には、長周期微動の活発化をともなう地殻変動が観測され、その後は小規模な噴火が繰り返して発生した。 3月12日には噴火警戒レベルが1に下げられたものの、6月には火口底で水蒸気噴火(土砂噴出)が始まり,7月には、3回目のクラック状火道の膨張が発生し、中岳第一火口の湯だまり(火口湖)が完全消失した。
2014年7月以降には草千里をはさむ複数のGPS基線で伸びが観測され始め、長周期微動の振幅および発生頻度が2014年8月から徐々に大きくなった。この長周期微動の消長は、火口底の小火孔の温度変化とよい対応をしめす。なお、噴火警戒レベルは8月30日に2に引き上げられている。
そして、10月20日以降には長周期微動の振幅が観測開始以降最大級となり、周期約2秒の連続微動(第1種微動)の振幅も増大した。同時に地中温度の急増に対応する磁場変化が観測され始め、11月25日の噴火を迎えた。
噴火前の9月と噴火直後のACTIVE観測の結果を比べると、火口縁から地下100~150mの領域で比抵抗が増加したと考えられる。この深さでの比抵抗変化はこれまでの観測では検出されておらず、この構造変化および地磁気の変化と噴火準備過程との関係を明らかにすることが今後の検討課題の一つである。
今回の噴火活動も最近80年のものと同様、中岳第一火口からの灰噴出とストロンボリ式噴火で特徴づけられ、灰噴出にともなう短周期連続微動振幅の増大、ストロンボリ式噴火にともなう長周期震動などが観測されている。2015年2月現在も長周期微動、第1種微動の振幅も大きい状態が続いており、GPSの基線は伸びの状態が継続している。今後の火山活動を注視していく必要があろう。
阿蘇火山では、1989-1993年のマグマ噴火ののち1994-95年に土砂噴出(小規模な水蒸気爆発)が頻繁に発生したものの、その後は平穏な状態が続いていた。2000年11月から中岳第一火口南壁での赤熱現象が観測されるようになったが、依然として全面湯だまりの状態が継続していた。その後、湯だまり量の減少とともに、2003年7月、2004年1月、2005年4月にごく小規模な噴火が発生した。そして、南壁赤熱の消長、湯だまり量の増減を繰り返し、2011年5~6月にごく小規模な噴火が発生した。この際、気象庁の噴火警報及び噴火予報の運用開始以降はじめて、噴火警戒レベルが2に引き上げられた。
阿蘇火山周辺では、1993-2012年の水準測量により、中岳火口の西4kmの草千里を中心とする沈降が検出されていた。ただし、2008-2012年の沈降量は2004-2008年の沈降量の6割程度であり、このことは草千里下のマグマだまりに注入しているマグマ量の増加を示唆していた。2003年から開始されたGPS観測でも同様な変動が捉えられている。
その後、2013年4月より湯だまりの量が減少しはじめた。このことに対応する浅部比抵抗の増加がACTIVE観測(人工ソースを用いた電磁探査)により捉えられている(2013年5~9月)。2013年9月には、地震活動の活発化とガス放出量の急増が観測され、その直前には火口直下のクラック状火道での膨張現象が観測された。そして、2013年12月中旬にかけて短周期連続微動の振幅が徐々に大きくなり、同時期(2013年9月~2014年1月)には、地下250m以深の熱水だまり近傍での蓄熱を示す全磁力変化が検出された。また、2013年5月~2014年1月に地下250m以深で比抵抗増加が増加したことがACTIVE観測により捉えられている。
2013年12月には短周期連続微動の振幅が急増し噴火警戒レベルが2に引き上げられた。この微動の振幅は2014年1月2日に急減し、その後に中岳第1火口底に小火孔が開いたことが現地観測により確認されている。小火孔の形成と同時期に蓄熱傾向の磁力変化が収まった。そして、1月中旬には、長周期微動の活発化をともなう地殻変動が観測され、その後は小規模な噴火が繰り返して発生した。 3月12日には噴火警戒レベルが1に下げられたものの、6月には火口底で水蒸気噴火(土砂噴出)が始まり,7月には、3回目のクラック状火道の膨張が発生し、中岳第一火口の湯だまり(火口湖)が完全消失した。
2014年7月以降には草千里をはさむ複数のGPS基線で伸びが観測され始め、長周期微動の振幅および発生頻度が2014年8月から徐々に大きくなった。この長周期微動の消長は、火口底の小火孔の温度変化とよい対応をしめす。なお、噴火警戒レベルは8月30日に2に引き上げられている。
そして、10月20日以降には長周期微動の振幅が観測開始以降最大級となり、周期約2秒の連続微動(第1種微動)の振幅も増大した。同時に地中温度の急増に対応する磁場変化が観測され始め、11月25日の噴火を迎えた。
噴火前の9月と噴火直後のACTIVE観測の結果を比べると、火口縁から地下100~150mの領域で比抵抗が増加したと考えられる。この深さでの比抵抗変化はこれまでの観測では検出されておらず、この構造変化および地磁気の変化と噴火準備過程との関係を明らかにすることが今後の検討課題の一つである。
今回の噴火活動も最近80年のものと同様、中岳第一火口からの灰噴出とストロンボリ式噴火で特徴づけられ、灰噴出にともなう短周期連続微動振幅の増大、ストロンボリ式噴火にともなう長周期震動などが観測されている。2015年2月現在も長周期微動、第1種微動の振幅も大きい状態が続いており、GPSの基線は伸びの状態が継続している。今後の火山活動を注視していく必要があろう。