日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-IT 地球内部科学・地球惑星テクトニクス

[S-IT35] 地球深部ダイナミクス:プレート・マントル・核の相互作用

2015年5月26日(火) 14:15 〜 16:00 106 (1F)

コンビーナ:*中川 貴司(海洋研究開発機構数理科学・先端技術研究分野)、綿田 辰吾(東京大学地震研究所海半球観測研究センター)、境 毅(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、座長:大滝 壽樹(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、土屋 卓久(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)

15:48 〜 15:51

[SIT35-P02] 高温高圧下における鉄-水反応に対する硫黄の影響

ポスター講演3分口頭発表枠

*三田井 慎吾1近藤 忠1田窪 勇作1亀卦川 卓美2 (1.大阪大学理学研究科、2.物質構造科学研究所)

キーワード:地球核, 軽元素, 水素, 放射光

形成期の地球内部環境下ではFeとH2Oが反応し、FeHやFeOOH等の含水素相が出現することが報告されているが(例えばOkuchi ,1997; Ohtani et al.,2005),本研究では更に多成分系の反応を調べるために硫黄を加え、Fe-S-H-O系の高温高圧下における反応関係を調べた。
この系では、反応生成物として想定される金属水素化物中の水素が低圧側で試料から散逸してしまうために、実験は高エネルギー加速器研究機構(KEK)・放射光実験施設(PF-AR-NE1A)で行い、その場X線回折法によって反応相を観察することにより、試料の相転移の観察や反応生成物の同定を行った。
高温高圧発生装置にはAR-NE1に設置されたレーザー加熱型ダイヤモンドアンビルセルを用いた。出発試料にはFeSの粉末を箔状に加工したものと純水を用い、レニウムガスケットに開けた試料室に封入した。圧力測定にはH2O-Ⅶ相の状態方程式を用いた。加熱にはNd:YAGレーザーを用いた両面加熱を行い、試料の高温部からの輻射により反応温度を推定した。
本実験は24GPa、33GPaの圧力条件、300K-1200Kの温度条件で行った。その結果、これらの温度圧力範囲では反応生成物としてFeS2(Pyrite)、dhcp-FeHX、ε-FeOOHが観察された。ε-FeOOHの安定領域はFeとH2Oの反応で報告されている圧力よりはるかに高圧側まで存在すること、またε-FeOOH の高温分解条件が制約できたこと、Fe-S-H系では水素を含むFeSが報告されているがFe-S-H-O系では硫化物相に有意な水素が見られないこと、Fe-S-H系では見られなかったFeS2が新たに出現することなどが分かった。また、発表では回収試料のSEM-EDS分析の結果についても報告する。