15:54 〜 15:57
[SSS30-P15] 入力振動に対する砂山の挙動を調べる実験装置の改良-地すべり発生メカニズム解明に向けて-
ポスター講演3分口頭発表枠
キーワード:地すべり
一般に、地すべり現象について、多くの場合その発生誘因は地震動や降雨である。例えば、2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震では、荒砥沢ダム付近で地震動による大規模地すべりが発生した。しかし、地震動による地すべりは、土塊(土砂・岩塊)の凝着や土塊に含まれる水の挙動、周囲の地形などの複合的な影響によってその規模や挙動などが異なるため、その発生メカニズムはよく分かっていない。
Yoshioka (2003)では、砂山に対して砂粒を落下させることで、その崩壊の規模別頻度分布が詳しく調べられた。中山ほか (2014, 地震学会)は、地震動による地すべりの発生メカニズムを解明するために、砂山に振動を加えることができる簡易な実験装置を用いて室内実験を行った。大まかな実験方法は以下の通りである。まず、底を切り抜いたペットボトルに孔をあけたキャップを取り付け、スタンドに固定した。ゴム製の土台の上に透明なアクリル容器を設置し、スタンドに固定されたペットボトルから砂を自由落下させ、底面の直径が60 mm程度、高さが20 mm程度の砂山を作成した。次に、あらかじめアクリル容器に貼り付けておいた分解済みの市販のブザーから音波信号を出し、砂山に対して振動を与えた。振動を与える前後の様子を写真および動画で撮影し、振動に対する砂山の挙動を調べた。振動数を変更することができないものの、ブザーから砂山に振動を与えたところ、斜面表面の砂粒がパラパラと落下していく様子と、表面の砂が斜面に沿ってズルズルと滑っていく様子の2通りの崩壊が見られた。しかし、中には崩壊が発生しない場合もあった。
本研究では、さらに解析を進め、ブザーから発せられる音は、砂山の位置の違いなどにより、振幅の大小だけでなく振動数のばらつきがあらわれることを明らかにした。さらに、容器の形状の影響により容器を伝播する振動には腹と節が生じることがわかった。また、崩壊過程の詳細を調べるためには、動画、画像の時空間分解能が不十分であることもわかった。
これらの課題を解決するために、実験装置の改良を試みる。具体的には、音量と振動数を変えることができる音源を使用できるようにするとともに、砂山を作成する台の形状についても検討する。さらに、ハイスピードカメラの導入を行い、時空間分解能を上げ、崩壊過程を詳しく調べられるようにする。
謝辞
研究を行うにあたり、京都大学防災研究所の土井一生博士、三井住友建設株式会社の高橋直樹博士より、助言と協力をいただき、ここに感謝の意を表する。
Yoshioka (2003)では、砂山に対して砂粒を落下させることで、その崩壊の規模別頻度分布が詳しく調べられた。中山ほか (2014, 地震学会)は、地震動による地すべりの発生メカニズムを解明するために、砂山に振動を加えることができる簡易な実験装置を用いて室内実験を行った。大まかな実験方法は以下の通りである。まず、底を切り抜いたペットボトルに孔をあけたキャップを取り付け、スタンドに固定した。ゴム製の土台の上に透明なアクリル容器を設置し、スタンドに固定されたペットボトルから砂を自由落下させ、底面の直径が60 mm程度、高さが20 mm程度の砂山を作成した。次に、あらかじめアクリル容器に貼り付けておいた分解済みの市販のブザーから音波信号を出し、砂山に対して振動を与えた。振動を与える前後の様子を写真および動画で撮影し、振動に対する砂山の挙動を調べた。振動数を変更することができないものの、ブザーから砂山に振動を与えたところ、斜面表面の砂粒がパラパラと落下していく様子と、表面の砂が斜面に沿ってズルズルと滑っていく様子の2通りの崩壊が見られた。しかし、中には崩壊が発生しない場合もあった。
本研究では、さらに解析を進め、ブザーから発せられる音は、砂山の位置の違いなどにより、振幅の大小だけでなく振動数のばらつきがあらわれることを明らかにした。さらに、容器の形状の影響により容器を伝播する振動には腹と節が生じることがわかった。また、崩壊過程の詳細を調べるためには、動画、画像の時空間分解能が不十分であることもわかった。
これらの課題を解決するために、実験装置の改良を試みる。具体的には、音量と振動数を変えることができる音源を使用できるようにするとともに、砂山を作成する台の形状についても検討する。さらに、ハイスピードカメラの導入を行い、時空間分解能を上げ、崩壊過程を詳しく調べられるようにする。
謝辞
研究を行うにあたり、京都大学防災研究所の土井一生博士、三井住友建設株式会社の高橋直樹博士より、助言と協力をいただき、ここに感謝の意を表する。