日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS13] ミクロスケール気象現象解明にむけた稠密観測・予報の新展開

2016年5月23日(月) 10:45 〜 12:15 301A (3F)

コンビーナ:*古本 淳一(京都大学生存圏研究所)、常松 展充(東京都環境科学研究所)、荒木 健太郎(気象研究所)、座長:東 邦明(京都大学生存圏研究所・メトロウェザー株式会社)

11:15 〜 11:30

[AAS13-09] 次世代大気場観測装置機KUMODeSの試作と性能評価

*長崎 岳人1田島 治1荒木 健太郎2石元 裕史2 (1.大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所、2.気象研究所予報研究部)

キーワード:大気水蒸気量、放射計、大気熱力学場

大雨や積乱雲下で生じる竜巻・大雪などの局所的・突発的自然災害への対策の重
要性は近年増しており、被害を最小化する災害の早期予測が待望されている。
そのためには、急激に変化する大気の熱力学場を高頻度・高精度に観測する技術
と高精度な予報・ナウキャストの情報を用いた解析が必須である。
大気場観測装置”KUMODeS(クモデス)”は、大気中に存在する水分子から放射される輝線 (20 - 30 GHz 帯)
ならびに酸素分子からの輝線 (50 - 60 GHz 帯) をマルチバンド受信する。
大気の熱力学場、雲物理量の推定を短時間で広域にわたって行い、
現象が発生する前の熱力学場の急激な不安定化や、雲物理量の変化を高頻度に解析する。
KUMODeSの最大特徴は電波天文観測技術の応用である。
20GHz帯受信機には冷却受信機を採用し、冷却温度10Kで運用するこ
とで高感度(低雑音)を実現する。加えて、冷凍機によって冷却する温度較正源を
搭載し、機械的な駆動による信号較正システムも採用予定である。これにより、遠隔操
作のみでの長期運用を可能とする。
本講演では、システムの概要ならびに試作機の評価試験の結果、ならびにつくば
市における大気観測の結果を報告する。さらに、複数台での三角観測等による三
次元マッピングから正確な水蒸気分布の観測プランや、より小型・低電力なシス
テム開発とプロジェクトに関して詳しく報告する。
なお、本研究は文部科学省・大学発新産業創出拠点プロジェクト「START」(
http://www.jst.go.jp/start/) に平成26年度より採択され、その援助のもと
に開発を行っている。