日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG23] 沿岸海洋生態系─1.水循環と陸海相互作用

2016年5月24日(火) 10:45 〜 12:15 301A (3F)

コンビーナ:*小路 淳(広島大学大学院生物圏科学研究科)、杉本 亮(福井県立大学海洋生物資源学部)、山田 誠(総合地球環境学研究所)、小野 昌彦(産業技術総合研究所)、座長:杉本 亮(福井県立大学海洋生物資源学部)、山田 誠(総合地球環境学研究所)

12:00 〜 12:15

[ACG23-11] 地球温暖化に伴う環境変動(水温・降水量の変化)が海底湧水を通じて沿岸域の水産生物に与える影響

*小路 淳1杉本 亮2本田 尚美3富永 修2小林 志保4山田 誠3谷口 真人3 (1.広島大学大学、2.福井県立大学、3.総合地球環境学研究所、4.京都大学)

キーワード:海底湧水、魚類、分布、種多様性、生物量、食物網

陸水の流入は豊富な栄養を供給することを通じて,沿岸域の生物生産や生物多様性を高めると認識されている.これまでの研究は,陸水のうち河川水を対象としたものがほとんどであり,海底湧水を対象とした事例は少ない. 海底湧水は河川水に比べて栄養に富み,水温が年間を通じて比較的安定しているという特性を備える.本発表では,地球温暖化にともない想定されるいくつかのシナリオのもとで,環境変動(水温・降水量の変化)が,海底湧水を通して沿岸域における魚類群集に与える影響の評価を試みる.
2013~2015年の3月~7月の間に山形県遊佐町,福井県小浜市,広島県竹原市において野外調査を実施した.海水中におけるラドン濃度,水温,塩分の観測,魚類および餌料生物の採集,胃内容物解析,安定同位体比分析を実施した.優占魚種の一つであったマコガレイ稚魚を用いて,水温が成長,貧酸素耐性に与える影響を飼育実験により調査した.
海底湧水の噴出量が多いエリアで魚類の種多様性,生物量が多い傾向が複数の調査サイトで確認された.食物網解析により,一部の魚類が海底湧水を通じて陸域起源の栄養を利用していることが示唆された.マコガレイ稚魚の成長至適水温は18~21℃の前後と推定された.地球温暖化に伴い水温上昇,降水量が増えた場合の魚類群集への影響を考察した.