日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG24] 北極域の科学

2016年5月26日(木) 09:00 〜 10:30 304 (3F)

コンビーナ:*川崎 高雄(国立極地研究所)、森 正人(東京大学大気海洋研究所)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、津滝 俊(国立極地研究所国際北極環境研究センター)、羽角 博康(東京大学大気海洋研究所)、座長:森 正人(東京大学大気海洋研究所)

10:15 〜 10:30

[ACG24-06] 数十年スケールの地上気温変動と北極振動との関係

*田中 博1 (1.筑波大学計算科学研究センター)

キーワード:北極振動、北極温暖化増幅、エネルギーバランスモデル、惑星アルベド、数十年スケール変動

本研究では、簡単なエネルギーバランスモデル(EBM)の時間積分を行い、アルベド変化に伴う数十年スケールの気温変化を説明する仮説を提唱した。この数値実験では、人為起源の温暖化に自然変動が重なることで、温暖化ハイエイタスが再現された。同時に、1970年から2000年頃の急激な温度上昇には自然変動が人為起源の温暖化と同程度の大きさで重なっている事が示された。このモデルで鍵となる惑星アルベドの長周期変動について、JRA-55再解析データを用いて調査したところ、惑星アルベドはEBM仮説のように、1958-1970年で増加、1970-2000年で減少、2000-2012年で増加した。この長周期変動を、気温変化のEOFとして得られる北極振動モードとバレンツ海モードと比較した結果、バレンツ海モードは惑星アルベドと同じ数十年変動を示し、20世紀末の急激な温暖化や近年の温暖化ハイエイタスと整合的な変動を示した。一方、北極振動は温和な北極域と寒冷な中緯度という近年の局所的な気温変化に大きく貢献していることを示した。