15:30 〜 16:45
[AHW16-P06] SWATを用いた、茨城県流域における施肥改善による栄養塩負荷低減効果の予測
キーワード:SWATモデル、栄養塩流出、施肥改善
【目的】湖沼資源の持続的利用や保全のためには,流入河川の流量や水質の適切な管理が重要である.水質汚濁が問題となっている茨城県の霞ヶ浦に注ぐ利根川支流桜川流域について,流域モデル(SWAT)により流量・水質の予測を行う.【方法】基本データには国交省のDEM(10mメッシュ,国交省),土地利用データ(100mメッシュ,国交省),および包括的土壌分類ポリゴンデータ(100mメッシュ,農業環境技術研究所)を用いた.土壌特性値にはSolphyJ (土壌物理性DB)を,気象データは3地点の気象データを用いた.農地には水稲,野菜など平均的な肥培管理を入力し,水田には霞ヶ浦用水の平均灌漑水量を日単位で入力した.観測地点上流部では、シミュレーション期間では下水道が普及していなかったため市街地からの生活排水は一定量がサブ流域の河川に一定速度で加わるとした。その際、市街地の人口密度は一定と仮定した。表面流去は“Daily Rain/CN/Daily Route法を用い、ウオーミングアップ期間(2000~2002),キャリブレーション期間(2003~2005),バリデーション期間(2006~2008)を各3年間とし、流量、セディメント(SS)、Org-N、NO3-N、Org-P、Min-Pを調べた。その際、下流の観測地点の流量(連続データ)および月1~2回のSS、 T-N、NO3-N、T-P、Ortho-P濃度との適合性を調べた。その結果、日々の流量、SSについてはよい精度の予測(R2>0.6, NSE (Nash-Sutcliffe efficiency coefficient)>0.6) が得られ、栄養塩 (Org-N, Org-P, and NO3-N) についてはある程度の相関(R2 は 0.3~0.8 ,NSE は 0.1~0.4) が得られた。改善施肥:緩効性肥料施用を想定した多回少量施肥により、NO3-Nの流出を約20%減らせることが予測された。