日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW17] 水循環・水環境

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)、林 武司(秋田大学教育文化学部)、内田 洋平((独)産業技術総合研究所地質調査総合センター)

17:15 〜 18:30

[AHW17-P08] ベトナム・ドンナイ川流域上流部における土地利用/土地被覆変化による河川流況変化に関する研究

*Truong Nguyen Cung Que1近藤 明彦2 (1.千葉大学大学院理学研究科、2.千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

キーワード:ドンナイ川流域、LUCC、河川流況、流況曲線

土地利用・土地被覆変化(LUCC)は水文レジーム変化の主要な要因のひとつである。それの水文レジームへの影響は世界中の様々な国で進行中の研究課題になっている(Bewket and Sterk, 2005; Costa et al., 2003; Dao et al. 2014; Kashaigili, 2008, Kashaigili and Majaliwa, 2013; Li et al., 2009; Mou et al., 2015; Nie et al., 2011)。ベトナムにおいても2009年から策定された「ベトナムにおける気候変動及び海面上昇のシナリオ」に起因し、水文環境の変化に関する研究は注目されている。しかし大規模流域の水文学の研究は少ない。ベトナム第2の流域面積であるドンナイ川流域は、ベトナムの主要な経済開発地域(国のGDPの23%を占めている)に位置する。ドンナイ川流域の水資源は地域発展の上で重要である。本研究の目的は、ベトナムドンナイ川流域上流部における流況曲線分析の結果を用いた土地被覆変化及び河川流況変化の関係性の検討である。
ドンナイ川の流域面積は14,706.2km2であり、ランドサット画像解析から得られた1973年における主な土地被覆は、森林85.54%・農耕地13.77%であった。この比率は1994年まで大きな変化がなかった(73.06%と23.52%)。しかし2005年の時点で森林面積が大幅に減少し51.60%)、逆に農耕地が40%まで増加した。2014年にそれらの割合は44.64%と50.46%だった。従って1994年から2005年まで3,343km2(流域の22.7%)の森林が農耕地に転換したこ。
さらにGIMMS-NDVIデータセットを用いた1994年から2006年までの連続的な植生変動を検討したことにより、森林伐採は1998年から始まっているように見られた。また植生が2000年以降に回復したが、2005年にもう一度減少が見られまた。
本研究では、チアン貯水池及びダニィム貯水池流入量を河川流量データ(1993年から2009年までの日データ)として使用した。河川流況曲線の変化及び補水・平水・低水・渇水流量の変化を分析しました。土地被覆が大幅に変化した期間の1994年と2005年の間に、ダニィムでは1999年にすべての流量が急に増加し、その後減少した。ただしチアンにはダニィムと比較すると、渇水流量以外の流量は同様な変化になった。植生変化に対して、1999年に最大流量が増加し、それから減少した。そして2006年にもう一回増加した。
空間・時間スケールの異なる衛星―データであるランドサット及びGIMMS-NDVIを用いて湿潤地域のLUCCのと流況変換の関係が明らかにした。大規模なLUCCの後は最大流量の増加をもたらしながらも、平水・低水流量も増加した。