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[AOS03-P15] A challenge to evaluate effect of climate change on Japanese anchovy (Engraulis japonicus) in the East China Sea II
キーワード:ecosystem model, fish growth-migration model, Japanese anchovy, climate change
海洋大循環モデルC-HOPE(Max-Planck-Institute Ocean Model)と海洋低次栄養段階生態系モデルNEMURO(North Pacific Ecosystem Model for Understanding Regional Oceanography)の拡張版であるeNEMUROを結合させた、CHOPE-eNEMUROを現在気候外力と将来気候外力を用いて駆動し、現在と将来の水温、流向・流速、餌料プランクトン場を得、その場を用いてカタクチイワシの成長-回遊モデル(eNEMURO.FISH)を積分することで、地球温暖化が東シナ海のカタクチイワシに与える影響を評価している。これまでは、初期産卵場を、深度1000 m以浅で且つ水温15.6~27.8℃の海域に形成されると仮定し推定していたが、東シナ海のカタクチイワシの産卵場水温を再解析した結果、好適水温が14.1~20.1℃及び27.2~27.8℃の範囲にあるとの結果を得た。この新しい好適水温を仮定して初期産卵場を求め、産卵から1年間の計算を行った。また、これまでは3月生まれのカタクチイワシを対象としていたが、4および5月生まれのカタクチイワシについても同様の計算を行い、生まれ月による影響の違いも検討した。現在気候下では、九州西岸域に加入するシラスは、九州北部では4月生まれが、南部では3月生まれが主体となったが、将来気候下では、北部、南部とも3月生まれが主体となり、北部で1ヶ月シラス最盛期が早まる結果となった。また、体長に注目すると、現在気候下では、九州西岸域に加入するシラスは、北部では5月生まれ、南部では4月生まれがモード体長最大となるが、将来気候下では、北部では4月生まれ、南部では3月生まれがモード体長最大となり、モード体長が最大となる時期が1ヶ月早期化する結果となった。将来気候下では、4月の南部および5月の北部および南部に加入するシラスが激減したが、これは20.2~27.1℃の間に産卵場が形成されないという仮定のために、将来気候下では東シナ海の産卵場が消失したためである。今後は、東シナ海で20.2~27.1℃が好適水温帯にならない理由を精査する必要がある。