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[HDS17-02] 北アルプス徳本峠-大滝山間の重力変形過程
キーワード:重力変形、LIDAR地形データ、地すべり
上高地の南東側に位置する大滝山-徳本峠付近の重力変形地形について,航空LIDARデータによる詳細地形図の判読をおこなって検討した。検討地域では主稜線がほぼ連続的に,100~300m離れた二重山稜となっていることが特徴である。山上凹地-二重山稜は現地形に平行して形成されており,東北東-西南西方向を示す基岩の美濃帯の地質構造とは必ずしも一致しない。これは,大まかな地形が形成された後に重力変形が生じたことを示している。主稜線は非対称で,南東側が急斜面,北西側は緩斜面となっている。山腹斜面には重力変形を示唆する山向き小崖,山腹小緩斜面,不明瞭な谷向き小崖といった微地形が認められる。これらは南東側では尾根からの比高150m程度,北西側では同300m程度まで発達し,深い重力変形が北西側,つまり地層の傾斜側に向かって進んでいると解釈される。輪郭構造が明瞭な地すべり地形は見られないが,両側に弧状の谷が発達しつつある斜面や深層崩壊跡はある。この地域の地形は,全体的な重力変形の開始とその局所化,地すべりへの移行過程をあらわしている。