日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM14] 地形

2016年5月23日(月) 10:45 〜 12:15 301B (3F)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)、座長:佐藤 浩(日本大学文理学部)

11:00 〜 11:15

[HGM14-08] 2015年9月10日鬼怒川破堤によって発生した侵食地形とクレバススプレー堆積物の水理条件

★招待講演

*七山 太1重野 聖之2渡辺 和明1 (1.産業技術総合研究所 地質調査総合センター、2.明治コンサルタント(株))

キーワード:クレバススプレー、鬼怒川、常総市三坂地区、水理条件、地形学、堆積学

大河川において洪水が発生した場合,破堤個所周辺に特殊な地形が発生する.破堤すると,まず堤内地を洪水流が深く削り込んで,クレバスチャネルと呼ばれる侵食地形を作つくる.その周辺にはクレバススプレー堆積物が堆積する.クレバスチャネルやクレバススプレー堆積物は,地質時代の河川成堆積物には普遍的に報告されてきているが,現世の産状報告はあまり多くない.
2015年9月9日から11日にかけて,台風18号の影響によって東日本各地で河川の氾濫や土砂災害が発生し,これら一連の災害は「平成27年関東・東北豪雨」と名付けられた.茨城県を常総市三坂地域においては,9月10日12時50分頃に鬼怒川左岸の堤防が約200 mにわたって決壊し,大災害となった.破堤箇所の直近には射流によって生じた侵食地形,クレバススプレー堆積物には,流速の変化によって生じた3Dデューン〜リップルまでのベッドフォーム,および流水の方向を示す瓦礫の作るファブリック等の各種堆積構造が観察された.本発表においては,予察的な粒度分析結果も踏まえ,洪水発生時の水理条件について地形学的ならびに堆積学的見地から,考察を試みたい.