11:45 〜 12:00
[HQR15-11] AMS14C年代測定による池田山東麓における扇状地の推定形成年代と池田山断層の平均変位速度の再検討
キーワード:池田山断層、平均変位速度、断層変位
伊吹山系・池田山の東麓には多数の小扇状地が発達する.これらの小扇状地群は現成の地形面を含め,複数の段丘面からなるため,池田山と濃尾平野を分かつ池田山断層の活動性を評価する際の有用な地形と位置づけられる.長さ16kmの逆断層である池田山断層の平均変位速度は0.8-0.9m/1,000年とされ(岐阜県,1998,1999および産業技術総合研究所の活断層データベース),最近になって石村(2010)が北部では0.4-0.7m/1,000年,中部では1.3-1.7m/1,000年以上と再評価した.一方,演者らは,池田山麓の小扇状地群の地形発達過程を明らかにする目的で,段丘面の区分と構成層を被覆する腐植土のAMS14C年代測定を実施した.その結果,段丘面の推定離水年代は高位より順に,17-20ka(高位面),10ka(中位面(上位)),9ka(中位面(下位)),8ka(低位面)となった(高場ほか,2016).これらの年代は,クリプトテフラによって推定された段丘面形成年代(石村,2010)と大きく異なる.したがって,池田山断層の活動性についても再検討の必要があると判断された.本研究では,国土地理院の基盤地図情報5mDEMを用い,同一段丘面上での断層変位を読み取った結果,上下変位量は,北部の高位面で9-10.5m,同中位面(上位)で10-11m,同中位面(下位)で8-10m,中部の中位面(下位)で9-11m,同低位面で6-7m,南部の低位面で2-2.5m,1.5-2mであった.上記の推定離水年代とあわせ,平均変位速度は,北部の高位面で0.45-0.53m/1,000年,同中位面(上位)で1.0-1.1m/1,000年,同中位面(下位)で0.89-1.18m/1,000年,中部の中位面(下位)で1.00-1.29m/1,000年,同低位面で0.71-0.88m/1,000年,南部の低位面で0.24-0.32m /1,000年,0.18-0.25m /1,000年と算出された.これらの中で前縁断層(鈴木ほか,2005)の変位速度と考えられるものを除けば,主断層の平均変位速度は0.8-1.2m/1,000年と評価され,岐阜県(1998,1999)による推定に近い結果となった.
引用文献
石村大輔(2010)関ヶ原周辺における段丘編年と活断層の活動性,第四紀研究,49,255-270
岐阜県(1998)池田山断層に関する調査,平成9年度地震関係基礎調査交付金成果報告書,97p.
岐阜県(1999)池田山断層に関する調査,平成10年度地震関係基礎調査交付金成果報告書,86p.
鈴木康弘・池田安隆・後藤秀昭・東郷正美・宮内崇裕(2005)1:25,000都市圏活断層図「大垣」,国土地理院技術資料D・1-No.449
高場智博・吉田英嗣・須貝俊彦(2016)伊吹山系・池田山麓における土石流扇状地の段丘形成年代,日本地理学会2016年春季学術大会発表
引用文献
石村大輔(2010)関ヶ原周辺における段丘編年と活断層の活動性,第四紀研究,49,255-270
岐阜県(1998)池田山断層に関する調査,平成9年度地震関係基礎調査交付金成果報告書,97p.
岐阜県(1999)池田山断層に関する調査,平成10年度地震関係基礎調査交付金成果報告書,86p.
鈴木康弘・池田安隆・後藤秀昭・東郷正美・宮内崇裕(2005)1:25,000都市圏活断層図「大垣」,国土地理院技術資料D・1-No.449
高場智博・吉田英嗣・須貝俊彦(2016)伊吹山系・池田山麓における土石流扇状地の段丘形成年代,日本地理学会2016年春季学術大会発表