日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT21] 環境トレーサビリティー手法の開発と適用

2016年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 101A (1F)

コンビーナ:*陀安 一郎(総合地球環境学研究所)、中野 孝教(大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 総合地球環境学研究所)、座長:陀安 一郎(総合地球環境学研究所)

14:15 〜 14:30

[HTT21-09] 熱帯泥炭湿地の急速な環境変化が地下水中の溶存態有機炭素動態に及ぼす影響

*伊藤 雅之1西村 裕志1平野 高司2Gunawan Haris3Kitso Kusin4甲山 治1田中 洋太郎1勝山 正則1 (1.京都大学、2.北海道大学、3.リアウ大学、4.パランカラヤ大学)

キーワード:熱帯泥炭湿地、東南アジア、土地利用変化

東南アジアの熱帯泥炭湿地は24 万平方キロメートルに及び、地下部に膨大な量の炭素が蓄積されている。特に近年の人為活動の増大による環境変化が、大量の二酸化炭素放出につながっている。
本研究は伐採・火災・排水・植林地化等の人為活動による泥炭湿地の攪乱が、物質循環に及ぼす影響について調査した。特に河川や排水路を通じて流出する溶存態有機炭素(Dissolved Organic Carbon; DOC)の量的質的な変化に着目し、天然泥炭湿地林や、伐採後の二次林、排水・火災を経た荒廃地(写真はもともと全て森林であったところ)などについて調査した。
観測は、インドネシア・スマトラ島東部のリアウ州、及び、カリマンタン島・中カリマンタン州において行った。
地下水中のDOC濃度は、天然林や二次林の方が、火災を数度経験した地点より高かったが、火災直後の泥炭地下水では、濃度が急激に高くなった。また、地下水位は雨期に上昇し、乾期に低下したが、地下水中のDOC濃度は雨期に低く、乾期に高かった。このことから泥炭地下水のDOC濃度の季節変化は雨水による希釈で説明ができるが、突発的な泥炭火災の際に、大量の炭素がDOCとして地下水に供給されることを示唆した。3次元蛍光解析や2次元NMR解析を用いた、DOCの質の変化についても発表する。