日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT22] UAVが拓く新しい世界

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*近藤 昭彦(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、井上 公(防災科学技術研究所)、長谷川 均(国士舘大学文学部地理学教室)

17:15 〜 18:30

[HTT22-P05] 2014年広島土石流前後のUAV画像とその解析

*田中 圭1中田 高2 (1.一般財団法人 日本地図センター、2.広島大学名誉教授)

キーワード:2014年広島土石流、GIS、UAV

1.はじめに
自然災害の多くは,地形が急激に変化する場所に人間が不用意に立ち入ることで生ずる人災である.2014年8月20日未明に広島市 北部で発生した土石流災害もこの例に当てはまる.土石流は花崗岩山地の山麓緩斜面に広がる住宅地を襲い,75名の犠牲者(災害関連死も含む)を伴う大災害 を引き起こした.
本発表では,今回の土石流災害のなかでも特に被害が甚大で多数の犠牲者(全犠牲者75名中41名)を出した広島市安佐南区八木3丁目を対象とし、被災建物の分布とその建築年代の関連を定量的に分析し,都市周辺のスプロール現象による住宅地拡大によってもたらされた本災害の特徴を 明らかにすることである.
2.手法
多時期に撮影された空中写真をSfM-MVS(Structure from Motion – Multi-View Stereo)による簡易測量とGISを用いて,被災地域の宅地化の過程を明らかにし,建築時期別に被災建物の立地条件についての詳細な分析を行った.また、八木3丁目上楽地地区では土石流発災約10ヶ月前の2013年10月に撮影したUAV撮影画像と土石流発災後の2014年9月に撮影したUAV画像を用いて,土石流が溢流した原因の分析を行った.
3.結果
被害を受けた住宅は高度経済成長期に建築されたものに集中したという一般的な見解は,この期間に建築された建物数の多さから当然であり,間違っているとは言いがたい.しかし,壊滅的な被害を受け,被災後更地化された建物あるいは犠牲者が発生した建物の分析結果からは,高度経済成長期以降にも土石流災害の危険性が極めて高い場所に住宅建築が新たに行われ,大きな被害が発生したことが明らかになった.