11:00 〜 11:15
[HTT24-07] 古都・奈良における歴史的景観の把握
キーワード:古都・奈良、都市変遷、復元
豊かな自然と長い歴史を有したわが国には、歴史的建造物と自然環境が一体となった美しい景観が現存している。2004年に美しく風格のある国土の形成、潤いのある豊かな生活環境の創造および、個性的な地域社会の実現を図るため景観法が制定された。日本で初めての景観に関する総合的な法律であり、景観計画の策定や景観計画区域などでの建築等に係わる行為規制、ランドマークの保全や景観に則した公共施設の整備が規定されている。さらに、2008年に良好な環境を維持・向上させ後世に継承するために、歴史まちづくり法が制定された。これらの制定以来、歴史環境についての取り扱い方も保護から保全へ、さらにはもとの形態へと甦らせる復元へとシフトしつつある。
近年、高度情報社会となり空間情報技術が急速に普及しており、さまざまな分野、場面で活用されてきている。なかでもGISの利用がより身近となっており、歴史的景観の分析とデザインにおいても、時空間情報のデータベース化、空間構造と視覚構造の把握などに、GISが有効なツールとして活用される素地ができている。
歴史環境の保全と復元をテーマとして都市デザインを行うためには、地域固有の文化や歴史を読み解き、歴史的景観を明らかにする必要がある。本研究では、現存している過去の景観図などの史料を読み解くことで、構築した3次元復元都市モデルを用いた景観シミュレーションを行うことにより、奈良の変遷景観を読み解くことを目的とする。
具体的な研究方法として、GISを活用することで都市変遷を明らかにする空間データを構築し、近世から現代にかけて歴史的変遷を整理、把握している。近世では大きな力を持った寺院の都市の影響、都市構造の把握を試みている。近代以降は、交通手段の発達に着目した都市の変遷把握を試みている。さらに、CAD/CGとオブリーク航空カメラを用いることで、過去と現代の3次元都市モデルを作成し、景観シミュレーションを行うことで都市景観を再現し、過去と現代の都市空間を比較し、把握を試みている。
近世奈良の変遷を確認するために、南都名所集と大和名所図会を使用している。同じ江戸期に刊行された2冊であるが、刊行時期が100年以上異なるため、描かれている景観も異なっていることを確認した。また、景観図に描かれている名所の位置をGIS上に定位し、犯罪分析に用いられるホットスポット分析を用いて検出した奈良市街地を狭域な範囲として選定した。
また、絵図、旧版地形図を用いてGIS上に空間データを作成している。具体的には、江戸後期では絵図に描かれている市街地、街路、河川を把握し、それ以降は地形図に記されている市街地、鉄道、街路、河川、樹群、田畑などを取り上げてデータベース化している。構築したデータベースから都市変遷の把握を試みた。さらに、江戸期と現代で、興福寺五重塔が市街地からの可視領域の変遷を把握している。可視・不可視分析、仰角分析を用いて江戸期、現代の可視領域を把握し、景観シミュレーションを行う視点選定の抽出を試みている。
選定を行った視点場からの景観シミュレーションを行った。ヴィスタ景観として興福寺五重塔を眺めるシミュレーションと興福寺側から奈良市街地をパノラマ景観で眺めるシミュレーションを行っている。近世復元モデルに関しては、GIS上で整備をしたデータベースをもとに作成している。現代都市モデルに関しては、高度情報化社会にある現代の新たな技術であるオブリーク航空カメラによって構築された3次元都市モデルを応用し、現代都市モデルを作成している。3次元都市モデルを用いた景観シミュレーションは、膨大なデータ量が問題となる。指標を用いることで、視距離に応じて再現精度を変化させることでデータ量を抑えつつ、効率的に3次元都市モデルの構築を行った。
景観対比を行った結果としてヴィスタ景観では、江戸期、現代の2時代、パノラマ景観では、奈良時代を含めた3時代の景観対比をモデル間で行い、時代により特徴のある大きく変化した奈良市街地を確認することができた。
また、GISとCAD/CGに代表される空間情報技術を統合的に活用して奈良市街地の歴史的環境を把握し、景観変遷を把握することができた。
近年、高度情報社会となり空間情報技術が急速に普及しており、さまざまな分野、場面で活用されてきている。なかでもGISの利用がより身近となっており、歴史的景観の分析とデザインにおいても、時空間情報のデータベース化、空間構造と視覚構造の把握などに、GISが有効なツールとして活用される素地ができている。
歴史環境の保全と復元をテーマとして都市デザインを行うためには、地域固有の文化や歴史を読み解き、歴史的景観を明らかにする必要がある。本研究では、現存している過去の景観図などの史料を読み解くことで、構築した3次元復元都市モデルを用いた景観シミュレーションを行うことにより、奈良の変遷景観を読み解くことを目的とする。
具体的な研究方法として、GISを活用することで都市変遷を明らかにする空間データを構築し、近世から現代にかけて歴史的変遷を整理、把握している。近世では大きな力を持った寺院の都市の影響、都市構造の把握を試みている。近代以降は、交通手段の発達に着目した都市の変遷把握を試みている。さらに、CAD/CGとオブリーク航空カメラを用いることで、過去と現代の3次元都市モデルを作成し、景観シミュレーションを行うことで都市景観を再現し、過去と現代の都市空間を比較し、把握を試みている。
近世奈良の変遷を確認するために、南都名所集と大和名所図会を使用している。同じ江戸期に刊行された2冊であるが、刊行時期が100年以上異なるため、描かれている景観も異なっていることを確認した。また、景観図に描かれている名所の位置をGIS上に定位し、犯罪分析に用いられるホットスポット分析を用いて検出した奈良市街地を狭域な範囲として選定した。
また、絵図、旧版地形図を用いてGIS上に空間データを作成している。具体的には、江戸後期では絵図に描かれている市街地、街路、河川を把握し、それ以降は地形図に記されている市街地、鉄道、街路、河川、樹群、田畑などを取り上げてデータベース化している。構築したデータベースから都市変遷の把握を試みた。さらに、江戸期と現代で、興福寺五重塔が市街地からの可視領域の変遷を把握している。可視・不可視分析、仰角分析を用いて江戸期、現代の可視領域を把握し、景観シミュレーションを行う視点選定の抽出を試みている。
選定を行った視点場からの景観シミュレーションを行った。ヴィスタ景観として興福寺五重塔を眺めるシミュレーションと興福寺側から奈良市街地をパノラマ景観で眺めるシミュレーションを行っている。近世復元モデルに関しては、GIS上で整備をしたデータベースをもとに作成している。現代都市モデルに関しては、高度情報化社会にある現代の新たな技術であるオブリーク航空カメラによって構築された3次元都市モデルを応用し、現代都市モデルを作成している。3次元都市モデルを用いた景観シミュレーションは、膨大なデータ量が問題となる。指標を用いることで、視距離に応じて再現精度を変化させることでデータ量を抑えつつ、効率的に3次元都市モデルの構築を行った。
景観対比を行った結果としてヴィスタ景観では、江戸期、現代の2時代、パノラマ景観では、奈良時代を含めた3時代の景観対比をモデル間で行い、時代により特徴のある大きく変化した奈良市街地を確認することができた。
また、GISとCAD/CGに代表される空間情報技術を統合的に活用して奈良市街地の歴史的環境を把握し、景観変遷を把握することができた。