日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-GI 地球科学一般・情報地球科学

[M-GI20] 山岳地域の自然環境変動

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*鈴木 啓助(信州大学理学部)、苅谷 愛彦(専修大学文学部環境地理学科)、佐々木 明彦(信州大学理学部)

17:15 〜 18:30

[MGI20-P09] 北アルプスの氷河・雪渓が形成される環境条件

*山本 遼平1奈良間 千之2福井 幸太郎3 (1.新潟大学大学院自然科学研究科、2.新潟大学理学部自然環境科学科、3.立山カルデラ砂防博物館)

キーワード:氷河、雪渓、質量収支、SfM(Structure from Motion)

北アルプス北部の立山連峰では,御前沢氷河,三ノ窓氷河,小窓氷河の3つ氷河の存在が確認されている.立山連峰にだけ存在する氷河の年間質量収支や環境条件を調べるため,現地調査と衛星画像解析を実施した.冠雪の2日前の2015年10月9日に型セスナ機からの空撮を実施し,御前沢氷河,三ノ窓氷河,小窓氷河の10cm DEMを作成した.同時期に御前沢氷河前面でGNSSによるキネマティック測量により得られた氷河表面高度と作成したDEMを比較した結果,DEMの氷河全体の平均鉛直誤差は-40㎝±10㎝であった.2015年10月の融雪期末期における御前沢氷河の末端高度は2502m,面積は0.112km2であった.三ノ窓氷河の氷河末端高度は1698m,面積は0.154km2で,小窓氷河の末端高度は1870m,面積は0.167 km2であった.氷河の環境条件を知るために,衛星画像と国土地理院の解像度10m DEMを用いて,北アルプス立山連峰の集水域にわけ,雪の涵養・消耗に関連する地形的要素を集水域ごとに比較をした.比較をした結果,氷河が存在する集水域は,集水域面積に対し雪氷体が占める割合が高かった.また,小窓氷河,三ノ窓氷河は起伏量が大きく日射量が少ない傾向にあり,御前沢氷河はその他立山連峰の集水域と比較して標高値が高く,雪が溜まる地形が発達していた.このことから,現存する氷河は特殊な環境条件にあると考えられ,今後,決定木法を用いて詳細な地形分類をおこなう.