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[MIS09-P19] 日本海東縁の表層型ガスハイドレート賦存海域における浮遊・底生生物相の次世代シーケンサーを用いた解析
キーワード:メタンハイドレート、18S rRNA、次世代シーケンス解析、真核生物群集構造、DNA
日本海東縁の上越海盆では、海底に発達したポッツマーク付近から大量のメタンガスが湧出していることが確認されている。湧出域周辺にはバクテリアマットやベニズワイガニに代表される多様で大型の底生生物が棲息していることが確認されている。しかし、水塊と表層堆積物中に棲息する浮遊生物や底生の小型生物について、開発前のベースラインの多様性や分布について明らかにする必要がある。本研究では2013年度の調査航海で採取した海水および表層堆積物を対象に、次世代シーケンサーを用いた真核生物群集構造解析を行った。表層型ガスハイドレート賦存海域で活発なメタンの湧出やバクテリアマットをそれぞれ伴う2サイトとこれらを伴わない近傍のリファレンスサイトで生物相の比較を行った。その結果、水深~50メートルおよび~200メートルの水塊中では、渦鞭毛虫門のGyrodinium属、節足動物門のCentropages属、放散虫のAcanthochiasma属などに分類される浮遊生物が検出され、生物相は互いに類似していた。しかし、水深~1000メートルの底層水中では、刺胞動物門のNanomia 属やPantachogon 属等に分類される浮遊生物がメタンの湧出やバクテリアマットを伴うサイトのみで検出され、リファレンスサイトとは明瞭な違いを示した。一方、表層堆積物はメタンの湧出やバクテリアマットを伴うサイトでは線形動物門のChromadorea科に分類される底生生物が優占して検出されたが、構成種に関してはどのサイトも概ね類似していた。
本研究は経済産業省メタンハイドレート開発促進事業の一環として実施されたものである。
本研究は経済産業省メタンハイドレート開発促進事業の一環として実施されたものである。