日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] 大気電気学

2016年5月23日(月) 13:45 〜 15:15 203 (2F)

コンビーナ:*三浦 和彦(東京理科大学理学部)、鴨川 仁(東京学芸大学教育学部物理学科)、座長:吉田 智(気象庁気象研究所)

14:30 〜 14:45

[MIS14-04] 冬季雷雲のガンマ線測定を狙う多地点観測システムの新規開発

*榎戸 輝揚1湯浅 孝行2和田 有希3中澤 知洋3土屋 晴文2中野 俊男3米徳 大輔4澤野 達哉4 (1.京都大学、2.理化学研究所、3.東京大学、4.金沢大学)

キーワード:冬季雷雲、ガンマ線、電場、電子加速

日本海沿岸の冬季雷雲から 10 MeV に達するガンマ線が地上に放射されていることが観測的に知られており(Torii et al., 2002, Tsuchiya & Enoto et al., 2007)、雷雲内の強電場により電子が相対論的な領域まで加速されていると考えられている。これまでの観測では単地点の観測が多く、電子加速域の生成・成長・消失を追跡を追うことは難しかった。そこで我々は、雷雲の流れにそって複数の観測点を設けたマッピング観測を行うことで、放射の始まりと終わりを確実に捉え、ガンマ線強度やスペクトル変化を測定し、加速現象の全貌を明らかにすることを狙っている。冬季雷雲の平均的な移動速度は ∼500 m/ 分で、単点観測で数分にわたりガンマ線増大が検出されるため、およそ数 km 間隔で約 20 個ほどの観測サイトを設けることを考えている。そこで、CsI や BGO シンチレータ、プラスチックシンチレータと独自に開発した回路基板、小型のコンピュータ Raspberry Pi を組み合わせ、30 cm 立方ほどの可搬型の放射線検出器を開発し、金沢大学と金沢大学附属高校に設置して観測を開始した。個々の放射線イベントの到来時間とエネルギー、温度などの環境情報を収集してる。今後、観測地点を増やして、マッピング観測を行いたい。なお、本プロジェクトは、民間の学術系クラウドファンディングからの寄付金によるサポートも得ておこなわれた。