17:15 〜 18:30
[MIS34-P100] 阿蘇外輪山北西部崖部の崩壊と砕屑場をおそった土石流(速報)
キーワード:熊本地震、土石流、斜面崩壊
九州大学地球惑星科学部門では,学部生の実習として九州横断巡検を行って来ている.西原村に宿泊し,立野溶岩,外輪山北西部の兜岩展望台,通称ラピュタ道路,村本採石場にて巡検を行って来た.今回この巡検地が地震の被害にあったために,地震後に同地域の調査をおこなった.調査は1回目の地震後の4月15日,本震(4月16日)後の4月25日,4月30日,5月1日に踏査・ドローンを使って観察した.
被害状況:外輪山は圧倒的に北西部での崩壊がみられており,ドローン撮影もおこないながら地震後の地質・地形調査をおこなった.
兜岩展望台:展望台の建て屋もつぶれ崖に沿って円弧滑りの正断層で全体がずれ落ちている.兜岩は外輪山壁から突出しているが,その出っ張った部分の展望台付近に亀裂が外輪山壁に沿って入っており,外輪山内側に崩れている.ドローンの観察では,外輪山壁から突出している根元の両側部分に,大きな土砂崩れが起こっており,そのずれ部分からの亀裂が展望台亀裂の末端部で見られることより,兜岩全体がずれる可能性が示唆される.
ラピュタ道路:眺めがよくて,ヘアピンカーブが続くこの道沿いも崩壊が著しい.ここは,オレンジ色のアカホヤ層(7300年前)が見られる場所であるが,より露頭がフレッシュになり観察しやすくなっている.
村本採石場:いつも世話になっている採石場であり,外輪山の断面が見られる非常にまれな場所である.ここでは,古い火山の岩体,柱状節理をもつ岩体および湖沼堆積物が見られる.湖沼堆積物は砂岩泥岩互層で,炭化した植物葉などを含んでおり,部分的に真っ黒い泥岩層を作っている.この堆積層は断層で8mほど切られており,崖側が落ちた正断層であった.この断層はカルデラ形成後に湖を伴いながらずれていった痕跡だと思われる.この堆積層は外輪山壁の中間部分(標高570m—650mの崖:カルデラ底赤水地域450m, カルデラ壁最上部は850-950m)に位置する.崩壊は崖の上部で草を持った表土層ととも土石流が起こっており,特に現在採掘していない最も東側はかなり下まで流れ下っていた.
今回の地震で集中的に阿蘇外輪山の北西部分に被害が集中したが,それに伴う土石流の挙動(運動エネルギーを位置エネルギーに変える)が明らかになった.特に,土石流はたまるだけでなく,強い流れのときは低いところから高いところへ上っていくこともあることが改めて認識させられた.
被害状況:外輪山は圧倒的に北西部での崩壊がみられており,ドローン撮影もおこないながら地震後の地質・地形調査をおこなった.
兜岩展望台:展望台の建て屋もつぶれ崖に沿って円弧滑りの正断層で全体がずれ落ちている.兜岩は外輪山壁から突出しているが,その出っ張った部分の展望台付近に亀裂が外輪山壁に沿って入っており,外輪山内側に崩れている.ドローンの観察では,外輪山壁から突出している根元の両側部分に,大きな土砂崩れが起こっており,そのずれ部分からの亀裂が展望台亀裂の末端部で見られることより,兜岩全体がずれる可能性が示唆される.
ラピュタ道路:眺めがよくて,ヘアピンカーブが続くこの道沿いも崩壊が著しい.ここは,オレンジ色のアカホヤ層(7300年前)が見られる場所であるが,より露頭がフレッシュになり観察しやすくなっている.
村本採石場:いつも世話になっている採石場であり,外輪山の断面が見られる非常にまれな場所である.ここでは,古い火山の岩体,柱状節理をもつ岩体および湖沼堆積物が見られる.湖沼堆積物は砂岩泥岩互層で,炭化した植物葉などを含んでおり,部分的に真っ黒い泥岩層を作っている.この堆積層は断層で8mほど切られており,崖側が落ちた正断層であった.この断層はカルデラ形成後に湖を伴いながらずれていった痕跡だと思われる.この堆積層は外輪山壁の中間部分(標高570m—650mの崖:カルデラ底赤水地域450m, カルデラ壁最上部は850-950m)に位置する.崩壊は崖の上部で草を持った表土層ととも土石流が起こっており,特に現在採掘していない最も東側はかなり下まで流れ下っていた.
今回の地震で集中的に阿蘇外輪山の北西部分に被害が集中したが,それに伴う土石流の挙動(運動エネルギーを位置エネルギーに変える)が明らかになった.特に,土石流はたまるだけでなく,強い流れのときは低いところから高いところへ上っていくこともあることが改めて認識させられた.