[M-IS34] 2016年熊本地震および関連する地殻活動

[MIS34-P69] 2016年熊本地震の動的破壊シミュレーション

*安藤 亮輔¹、青木 陽介²、内出 崇彦³、今西 和俊³ (1.東京大学大学院理学系研究科、2.東京大学地震研究所、3.産業技術総合研究所)

キーワード：動的破壊シミュレーション、2016年熊本地震、3次元非平面断層形状

地震発生は，応力集中が駆動する断層面の破壊現象であるが，地中に埋もれたそれらの幾何学的，物理的パラメタを明らかにするのは一般に容易でないため，現象の背後にある物理過程を明らかにすることには困難を伴う．しかしながら，現在進行中の2016年熊本地震では，その特徴的なテクトニックな条件と稠密観測によって，それが明らかになりつつある．本研究では，熊本地震の一連の動的破壊過程を，物理モデルによって再現した．その結果，破壊過程は，主に広域応力場の影響下にある非平面な断層形状によってコントロールされていることが分かった．また，M7イベントの震源域から北東に50km程度離れた湯布院断層には，M7イベントにより数100kPa程度の動的応力変化が生じており，また，火山地帯特有の浅部での高応力条件も加わって，遠地での動的トリガリング現象が発生したと考えられる．シミュレーション結果は，検証のために，InSAR解析により得られた地殻変動や地震計記録と比較している．なお，本シミュレーションは，新たに開発した高速領域分割・境界積分方程式法（FDPM）を用いてPCクラスタ規模でも可能になった．