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[MIS34-P77] 2016年熊本地震の余震観測記録を用いた熊本市の地震動特性
キーワード:余震観測、2016年熊本地震、熊本市
2016年4月14日と4月16日に発生した熊本地震では益城町で震度7、熊本市で震度6弱と震度6強を計測し、熊本県全域で大きな地震動が観測された。熊本県北西部に広がる熊本平野は、阿蘇の外輪山西斜面の洪積台地と白川や緑川が形成した沖積低地で構成されており、熊本市では軟弱な堆積層の影響により地震動が大きく増幅されることが示唆される。そこで、熊本市西区の南北測線における地震動特性を評価することを目的に、熊本市に流れる白川の北側~トンネル端の南側である総長6km程度の鉄道沿線6地点で2016年4月15日以降余震観測を実施した。各観測点では、白山工業製ロガーLS8800とミツトヨ製加速度計JEP-6A3(感度:10V/G)を設置し、地震計からの加速度信号を連続記録として収録した。2016年4月15日に2地点、4月16日に4地点の地震計設置を完了し、現在も継続して地震観測を実施している。
6地点で同時に収録された阿蘇周辺を震源とする地震記録では、測線上で波形の様子が異なり、測線の南部は北部と比べて加速度で2倍程度の振幅差が見られている。測線北部の観測点を基準としたスペクトル比から、測線南部は北部と比べて周期0.5秒で約3倍、周期1秒で約2倍の地震動が増幅されることが分かった。測線南部の2地点では、4月16日1時25分に発生した地震(Mj 7.3)を含めて、振幅の小さな地震動から大きな地震動までが収録されている。それら地震動の応答スペクトルは、速度応答0.1cm/s程度の地震動では約0.8秒に、速度応答30cm/s程度の地震動では約1.2秒に卓越周期が現れている。1時25分に発生した地震では周期2.2秒程度に卓越周期が見られており、速度応答で120cm/s程度を観測したデータでは、地盤の非線形性が強く現れていることが推察できる。また、2地点は直線距離にして600m程度しか離れていないにも関わらず、同地震の2地点間の地震記録は周期1~2秒で大きく異なっており、それら2地点間の地震動特性について今後の検討課題としたい。
6地点で同時に収録された阿蘇周辺を震源とする地震記録では、測線上で波形の様子が異なり、測線の南部は北部と比べて加速度で2倍程度の振幅差が見られている。測線北部の観測点を基準としたスペクトル比から、測線南部は北部と比べて周期0.5秒で約3倍、周期1秒で約2倍の地震動が増幅されることが分かった。測線南部の2地点では、4月16日1時25分に発生した地震(Mj 7.3)を含めて、振幅の小さな地震動から大きな地震動までが収録されている。それら地震動の応答スペクトルは、速度応答0.1cm/s程度の地震動では約0.8秒に、速度応答30cm/s程度の地震動では約1.2秒に卓越周期が現れている。1時25分に発生した地震では周期2.2秒程度に卓越周期が見られており、速度応答で120cm/s程度を観測したデータでは、地盤の非線形性が強く現れていることが推察できる。また、2地点は直線距離にして600m程度しか離れていないにも関わらず、同地震の2地点間の地震記録は周期1~2秒で大きく異なっており、それら2地点間の地震動特性について今後の検討課題としたい。