日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT29] ソーシャルメディアと地球惑星科学

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*天野 一男(茨城大学理学部地球生命環境科学科)、小口 高(東京大学空間情報科学研究センター)、伊藤 昌毅(東京大学生産技術研究所)、山本 佳世子(国立大学法人 電気通信大学)

17:15 〜 18:30

[MTT29-P05] 揺れた?揺れていない?ソーシャルメディアとセンサーネットワークで安否確認

*竹内 達哉1金 亜伊2上松 大輝3 (1.横浜国立大学、2.横浜市立大学、3.専修大学)

キーワード:MEMS加速度センサー、センサーネットワーク、ツイッター、フェイスブック、ラズベリーパイ、見守り

Kim et al.(2015)では,一般家庭に設置する小型で安価な加速度センサーユニット地震計を作成した.横浜市内に設置されたセンサーユニットは,中央のCSNサーバと連携して,地域の減災センサーネットワークCitizen Seismic Network (CSN) として運用されている.各ユニットはTwitterと連携し地震動を検出した際には自動投稿を行うしくみになっている.また,ネットワーク内におけるすべての地震動検出(トリガー)情報は一旦中央サーバに集約され,トリガー情報を送ってこなかったユニットに対しその有無を確認する. これにより、ネットワーク内の揺れた,揺れていない状況を把握しTwitter経由で情報を拡散,共有することができるようになった.
しかしこのユニットでは,加速度変化が特定の閾値を超えた場合に地震を検出しているSTA/LTA法を利用しているため,誤検出が多く,特にあるセンサーユニットだけが異常に検出の投稿を繰り返している.そこで,Kim et al.(2015)によって,人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いたパターン検出法が提案されたが,本発表では,ソーシャルメディアの情報を活用した地震の検出についても考察する.
本研究ではさらにセンサーの持ち主が普段から使っているメールやTwitter以外のソーシャルメディア等でトリガー情報を確認できる機能を実装した.これにより,ユーザとセンサー自身がより密な関係になり,センサーがトリガーしたときに,ユーザが実際に感じた「ゆれ」についてソーシャルメディア経由で確認,投稿することができる.そして,トリガー情報とユーザの感じた「揺れ」の投稿を蓄積することで,それらの比較により誤検出訂正の可能性を模索する.たとえば,職場にいて投稿できないときでも,過去の自宅での投稿との比較から自宅の状況を推定した情報を付加して投稿できるようになり,ユーザ個人にあわせたより精度の高い地震動検出を可能にする.
今後の展望として,トリガー情報が地震動かどうかをソーシャルメディアの情報を利用して再判定し,ユニットが「ゆれ」伝搬のハブとして活用できるようになったことで,地震動検出以外の生活振動などを利用した見守りといった日常へのセンサーネットワークの活用が期待できる.