13:45 〜 15:15
[O02-P31] 花崗岩の風化が及ぼす土砂災害への影響
キーワード:花崗岩、透水係数、風化過程
平成23年、台風の影響により、加古川市の大藤山では大規模な土砂災害が発生した。
しかし、大藤山の隣山である高御位山では、山の傾斜はほぼ同じであり、大藤山と同じ白亜紀後期に形成されたにもかかわらず、過去に大規模な土砂災害が発生していない。この双方の山の違いは、大藤山が花崗岩体、高御位山は凝灰岩体で形成されていることである。また、平成26年に広島市で土砂災害が発生しており、この土砂災害の発生要因のひとつとして、花崗岩が風化してできた真砂土層が関係しているといわれている。これらのことから、筆者らは花崗岩や、それが風化することでできる土砂の地質的な性質が土砂災害に関係しているのではないかと考えた。
まず、花崗岩の風化の特徴を調べる実験として、花崗岩、流紋岩、凝灰岩の三種類の岩石の加熱実験と、大藤山を流れる水のCa硬度測定を行った。火砕流の熱を想定した加熱実験を行った結果、花崗岩は風化の仕方として、鉱物間に隙間ができ、大きな構成を残しながら進むといった、他の岩石には見られなかった特徴が見られた。また、Ca硬度測定実験の結果、大藤山を流れる水は表層水・地下水共にCa硬度が高く、雨水と比較すると10倍以上高くなっていることが分かった。これは、雨水が風化した花崗岩体に浸透する際、岩石からCaが溶脱し水に溶け込んだからだと考えられる。このことから、花崗岩は風化過程において水の影響を受けやすいということがわかる。
次に、花崗岩と土砂の特徴から花崗岩体における土砂災害発生過程について考察するための実験として、花崗岩、流紋岩、凝灰岩の吸水率の比較と、花崗岩質土砂の透水性を調べる実験をした。
吸水率比較の結果、花崗岩は水を吸収しにくく、岩体の上に水がたまりやすくなることが分かった。
また、土砂の透水性を調べるために、大藤山の土砂層について、「透水係数」を用いて粒度との関係を示した。その結果、粒径の小さな砂が多いほど、透水しづらくなることが分かった。ここで、花崗岩体は地表面では粒径の小さな砂が少ないため、下部層まで水が浸透し、風化が促進されて厚い土砂層が形成される。つまり、風化の進んだ花崗岩の土砂と吸水率の低い花崗岩体の間に水がたまり、大規模な土砂災害が発生すると考えられる。
しかし、大藤山の隣山である高御位山では、山の傾斜はほぼ同じであり、大藤山と同じ白亜紀後期に形成されたにもかかわらず、過去に大規模な土砂災害が発生していない。この双方の山の違いは、大藤山が花崗岩体、高御位山は凝灰岩体で形成されていることである。また、平成26年に広島市で土砂災害が発生しており、この土砂災害の発生要因のひとつとして、花崗岩が風化してできた真砂土層が関係しているといわれている。これらのことから、筆者らは花崗岩や、それが風化することでできる土砂の地質的な性質が土砂災害に関係しているのではないかと考えた。
まず、花崗岩の風化の特徴を調べる実験として、花崗岩、流紋岩、凝灰岩の三種類の岩石の加熱実験と、大藤山を流れる水のCa硬度測定を行った。火砕流の熱を想定した加熱実験を行った結果、花崗岩は風化の仕方として、鉱物間に隙間ができ、大きな構成を残しながら進むといった、他の岩石には見られなかった特徴が見られた。また、Ca硬度測定実験の結果、大藤山を流れる水は表層水・地下水共にCa硬度が高く、雨水と比較すると10倍以上高くなっていることが分かった。これは、雨水が風化した花崗岩体に浸透する際、岩石からCaが溶脱し水に溶け込んだからだと考えられる。このことから、花崗岩は風化過程において水の影響を受けやすいということがわかる。
次に、花崗岩と土砂の特徴から花崗岩体における土砂災害発生過程について考察するための実験として、花崗岩、流紋岩、凝灰岩の吸水率の比較と、花崗岩質土砂の透水性を調べる実験をした。
吸水率比較の結果、花崗岩は水を吸収しにくく、岩体の上に水がたまりやすくなることが分かった。
また、土砂の透水性を調べるために、大藤山の土砂層について、「透水係数」を用いて粒度との関係を示した。その結果、粒径の小さな砂が多いほど、透水しづらくなることが分かった。ここで、花崗岩体は地表面では粒径の小さな砂が少ないため、下部層まで水が浸透し、風化が促進されて厚い土砂層が形成される。つまり、風化の進んだ花崗岩の土砂と吸水率の低い花崗岩体の間に水がたまり、大規模な土砂災害が発生すると考えられる。