17:15 〜 18:30
[O04-P02] 栗駒山麓ジオパーク・防災ジオ読本で身近な防災・減災教育を推進!
キーワード:ジオパーク、防災・減災、教育
宮城県栗原市全域をエリアとする栗駒山麓ジオパークは、その取り組みのきっかけを平成20年岩手・宮城内陸地震としている。それは、震災の記憶の風化を防ぎ、この経験を後世の子どもたちが活かせるようにとの目的のためである。しかし、この地震によって、地域に新しい資源がもたらされたのも事実である。地球史の中でも、比較的新しい時期の火山活動によってつくられた奥羽脊梁山脈の中心に位置する栗駒山は、栗駒山麓ジオパークのシンボリックな存在である。なぜなら、地域の人々の営みはこの栗駒山がもたらす恵みに支えられてきたからである。しかし、新しい時期につくられた栗駒山は崩れやすいという特徴があるため、内陸地震の際、栗駒山山麓部において崩壊、崩落、地すべり、土石流といった土砂崩れが約3000ヶ所で発生した。中でも、栗駒山麓ジオパークのみどころの「荒砥沢(あらとざわ)地すべり」は、その大きさや荒々しい姿から、大地のダイナミックな活動が感じられる場所としての価値がある。さらに、地すべり、崩壊、土石流の発生により地震以前とは全く異なる姿へと変貌を遂げた「冷沢(ひやしざわ)崩落地」は、治山工事が行われた場所であり、自然とともに生きる地域の姿を見ることができる場所である。このように、内陸地震によって、地球史の中でも比較的新しい大地の営みが感じられるみどころ栗原市にもたらされたのである。
栗駒山麓ジオパークでは、こうした資源を活用し、防災・減災教育に力を入れて活動を推進しており、ジオパークだからこそ実現できる体験型教育を通じて、子どもたちに地域の災害特性を理解してもらえるようにと様々な取り組みを行っている。
そもそも、地震や台風、洪水、土砂災害など、災害多発地帯に位置する日本では、大災害に見舞われるたびにその教訓としてさまざまな措置が取られてきた。例えば、1995年に発生した兵庫県南部地震によって、この災害を契機にして各地で建物の耐震診断や耐震補強を進めようという声が強まり、耐震基準について建築基準法が改正されているし、ニュースや携帯電話などに緊急地震速報が流れるのも過去の経験を踏まえてのことである。栗駒山麓ジオパークを推進する栗原市も、内陸地震を契機に、地域の防災・減災力を向上させるための取り組みに、より一層力を入れていきたいのである。
東日本大震災以降、改めて“減災”が注目され、自己の命は自分で守るという考え方が一般にも浸透してきている。この概念には発災時の避難行動がとても重要で、それには地域の自然環境、またなぜ災害が発生するのかの理解によって、災害発生の察知能力向上や、地域の危険箇所への意識付けが期待できる。それを可能にするツールこそ、ジオパークではないだろうか。
こうした考えの下、栗駒山麓ジオパークでは小・中学生へのジオパーク学習の中で、フィールド学習として実際の崩落・崩壊現場の見学や、実験を用いて土砂災害発生のメカニズムを学んでもらっている。さらに、2016年5月完成予定の「防災ジオ読本」は、栗原という地域における災害特性に焦点を絞った内容構成となっており、より身近な防災・減災を考えるきっかけになると期待されている。
この防災ジオ読本は、その作成・編集方法には大変こだわりを持っている。特にこだわったのは、市内小中学校の防災担当の先生方によるワーキングを結成し、作業を行っているということ。防災ジオ読本の大きな目標は、市内小中学校の授業での実用化である。したがって、学校現場を熟知する先生方の視点が必要で、月1回開催するワーキングにおける協議の結果、小学校5・6年生の理科の単元において活用し、どの単元の中でもタイミングで使うべきかについても設定した。冊子の中でも、特に目を引くのが、3ページに渡る鳥瞰図である。さらに、使用する写真もインパクトのあるものを使用している。
以上のように、栗駒山麓ジオパークでは、防災ジオ読本とフィールド学習の2つを併せた学習を行い、自分の住む地域の災害特性に焦点を絞った防災・減災教育を、今後も地域内で推進していく。その上で、ジオパークの取り組みの基礎である科学の積み重ね、地域資源をジオパークにおいて保護・保全していけること、地域の教育機関を巻き込んでの活動ができるのは、ジオパークの強みである。こうした強みを活かして、自己の命は自分で守るという“減災”が実現された地域づくりをしていきたいと考える。
栗駒山麓ジオパークでは、こうした資源を活用し、防災・減災教育に力を入れて活動を推進しており、ジオパークだからこそ実現できる体験型教育を通じて、子どもたちに地域の災害特性を理解してもらえるようにと様々な取り組みを行っている。
そもそも、地震や台風、洪水、土砂災害など、災害多発地帯に位置する日本では、大災害に見舞われるたびにその教訓としてさまざまな措置が取られてきた。例えば、1995年に発生した兵庫県南部地震によって、この災害を契機にして各地で建物の耐震診断や耐震補強を進めようという声が強まり、耐震基準について建築基準法が改正されているし、ニュースや携帯電話などに緊急地震速報が流れるのも過去の経験を踏まえてのことである。栗駒山麓ジオパークを推進する栗原市も、内陸地震を契機に、地域の防災・減災力を向上させるための取り組みに、より一層力を入れていきたいのである。
東日本大震災以降、改めて“減災”が注目され、自己の命は自分で守るという考え方が一般にも浸透してきている。この概念には発災時の避難行動がとても重要で、それには地域の自然環境、またなぜ災害が発生するのかの理解によって、災害発生の察知能力向上や、地域の危険箇所への意識付けが期待できる。それを可能にするツールこそ、ジオパークではないだろうか。
こうした考えの下、栗駒山麓ジオパークでは小・中学生へのジオパーク学習の中で、フィールド学習として実際の崩落・崩壊現場の見学や、実験を用いて土砂災害発生のメカニズムを学んでもらっている。さらに、2016年5月完成予定の「防災ジオ読本」は、栗原という地域における災害特性に焦点を絞った内容構成となっており、より身近な防災・減災を考えるきっかけになると期待されている。
この防災ジオ読本は、その作成・編集方法には大変こだわりを持っている。特にこだわったのは、市内小中学校の防災担当の先生方によるワーキングを結成し、作業を行っているということ。防災ジオ読本の大きな目標は、市内小中学校の授業での実用化である。したがって、学校現場を熟知する先生方の視点が必要で、月1回開催するワーキングにおける協議の結果、小学校5・6年生の理科の単元において活用し、どの単元の中でもタイミングで使うべきかについても設定した。冊子の中でも、特に目を引くのが、3ページに渡る鳥瞰図である。さらに、使用する写真もインパクトのあるものを使用している。
以上のように、栗駒山麓ジオパークでは、防災ジオ読本とフィールド学習の2つを併せた学習を行い、自分の住む地域の災害特性に焦点を絞った防災・減災教育を、今後も地域内で推進していく。その上で、ジオパークの取り組みの基礎である科学の積み重ね、地域資源をジオパークにおいて保護・保全していけること、地域の教育機関を巻き込んでの活動ができるのは、ジオパークの強みである。こうした強みを活かして、自己の命は自分で守るという“減災”が実現された地域づくりをしていきたいと考える。